- 2021-7-6
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- グラフェン/ダイヤモンド光記憶素子, シナプス, 光情報, 名古屋大学, 情報の重要度, 研究, 脳型イメージセンサー, 選択的, 長期記憶
名古屋大学は2021年7月2日、光刺激の頻度が多いほど長時間その光情報を記憶する、グラフェン/ダイヤモンド光記憶素子を発見したと発表した。
本研究では、グラフェンとダイヤモンドを積層複合化し、その積層界面に記憶される光情報の記憶時間が、情報の刺激により選択的に変化することを発見した。
実際に同複合体を画像素子として用いて2×3の配列に構成し、「I」と「L」のそれぞれの文字のパルス光を照射。照射数が多く刺激を大きくしたIの文字は長時間記憶されたが、照射数を少なくしたLの文字は記憶後すぐに忘却された。同大学によると、これはヒトの脳内で刺激に強い重要な情報が長期記憶され、刺激の弱い情報は短期記憶として忘れ去られる仕組みと類似している。
また、実際のヒトの脳内では脳内シナプスの電気的な刺激で結合強度が変わり、記憶の重要度が判断される。しかし今回作成した素子では、光刺激により結合強度が変化して画像などの光情報が素子で直接検出され、自立的に記憶/忘却されるのも大きな特徴だ。光の検出と記憶動作が全素子で同時並行的に行われるので高速で動作することが期待される。
今回の成果を活用することで、情報の重要度に応じて画像などの光情報が選択的に記憶/忘却される脳型イメージセンサーの開発が可能になるという。将来的には重要な情報を自律的に選択して記憶する新しいタイプのカメラの開発にもつながることが期待されるという。