MIT、圧力により色を変える弾性包帯を開発

アメリカのMIT機械工学科のMathias Kolle准教授が、圧力によって色が変わる弾性包帯を開発したと発表した。圧力信号に反応して色を変える「フォトニックファイバー」を織り込んだもので、研究成果は『Advanced Healthcare Materials』に論文「Stretchable Optomechanical Fiber Sensors for Pressure Determination in Compressive Medical Textiles」として2018年5月29日に発表されている。

圧迫療法は静脈潰瘍の血流をコントロールするための標準治療として有効だが、これまでは包帯が患部に最適な圧力を与えているかを判断する明確な方法がなかった。今回、Kolle准教授らの研究チームは、圧力を感知するフォトニックファイバーを包帯に織り込み、ファイバーの発色の変化によって、包帯に加わる圧力の違いがわかるようにした。これにより、カラーチャートで必要とする圧力の色を確認しながら、適切な圧力を加えながら包帯を巻くことができる。

圧力によって色が変わるこのフォトニックファイバーは、透明な、一般に入手可能なゴムシートの層から作られている。まず、ゴム素材の薄膜層を巻いてゼリー状の厚さ数百nmのロール型構造を作製する。各層は液体のゴムを回転するホイールに注ぐスピンコーティング技術によって作製する。

このロール型構造では、入射した光が各層の界面で反射する。層間での光の反射が干渉し合い、可視光線の波長のある特定の波長を強め、一方で他の波長を弱めることになる。そしてファイバーの伸縮によって層の厚みが変化し、それにより例えば赤色が強調され、他の色の明度が減少することで発色が変化する。層の厚みが一定になれば、その色の発色が保たれる仕組みだ。

そして包帯用の繊維の作製にはいくつかのステップがあるという。最初に、シリコンウェハー上の水溶性フィルムの上に、ゴムの層を2層形成し、それを水に浸して水溶性フィルムを溶解させ、2つのゴムの層を水面上に浮かべて分離。最後に、2つの透明な層を黒いゴム繊維の周りに巻きつけることで、人の毛髪の約10倍の直径のフォトニックファイバーを完成させる。

包帯としての機能実験では、ファイバーの色からカラーチャートによって読み取った圧力は、一般的な包帯を用いた場合よりも正確だったという。今後は、現状数cmのファイバー製造プロセスを拡張し、数m~数kmの工業レベルでのファイバー製造を検討している。このフォトニックファイバーは医療用織物、運動服、および他のスマートウェアラブル技術への応用も期待されている。

関連リンク

Engineers design color-changing compression bandage
Stretchable Optomechanical Fiber Sensors for Pressure Determination in Compressive Medical Textiles

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