ジェイテクトは2021年7月28日、トルクの低減と極寒冷地でも高い密封性を発揮するシールを採用したハブユニットを開発したと発表した。シールトルクを10%低減し、極寒冷地でもハブユニット内部への泥水浸入を防止する。
自動車業界を始めとしたモノづくり業界を取り巻く環境は、カーボンニュートラル達成に向けてエネルギーの低損失化が求められており、自動車のホイールを支えるハブユニットの低トルク化は燃費に直結することから必要不可欠な技術となる。
ハブユニットで発生するトルクの約半分を占めるシール部で使用されているニトリルゴムは、シール材料として様々な分野で使用されているが、低摩擦とゴム物性が背反事項となり、これらの両立が課題となっていた。
また、ニトリルゴムは一般的に耐油性、耐摩耗性、引き裂き強度に優れているが、他のゴムより耐寒性が劣る性質があり、同社ではシール用ゴムの使用可能温度範囲の拡大が重要課題となっていた。
そこで今回、低トルク、耐寒冷ロバスト向上ハブユニットを開発。開発したゴム材をシールへ適用することで、シールトルクを10%低減したという。-40℃以下の極寒環境下でもゴムが弾性を失わないため、シールの密封性を維持できる。北米やロシアなどの極寒冷地でも、泥水がハブユニット内部へ浸入することを防止する。
販売先は、各自動車メーカー、産機分野各メーカーなど。開発したゴム材は、ハブユニットだけでなく、その他の自動車部品を含む各種産業で活用できるゴム材となる。日本国内を始め、極寒冷地を含むグローバル市場で、低炭素社会の実現に貢献していく。