村田製作所は2021年12月9日、NFCリーダー端末から高い電力を受電する電子カード向けのワイヤレス給電技術を開発したと発表した。指紋認証機能付きカードなど電子カードの受電機能として実用化し、既に提供を開始している。
本人認証などの手段として、指紋認証機能付きカードを導入する企業などが増えているが、指紋認証機能付きカードをNFCリーダー端末にかざして情報を読み取らせる際、通信機能に加えてカード内の指紋センサーにリーダー側から電力を供給するための受電機能が必要となる。これまでは、カード側の受電電力が小さかったため、リーダーにカードを密着させなければ、認証できないという不便さがあった。
今回、村田製作所が開発した給電技術を使えば、従来のカードに比べて、NFCリーダー端末からの受電電力を大きくできる。NFCリーダー端末からカードを4cm離した条件で比較すると、1.7倍の電力の受電が可能だった。これによって、NFCリーダー端末に触れずにカードを近づけるだけで情報をやりとりできるようになり、指紋認証に要する時間の短縮にもつながる。
今後は指紋認証機能付きカードのほか、表示機能やセンシング機能、通信機能などが備わった電子カードへの応用も期待できる。
