日本精工は2024年3月21日、産業用ロボットなど産業機械向けのサーボモーター用低発塵、高機能軸受を開発したと発表した。新開発のグリースとゴムシールを採用し、軸受内部からグリースや油が飛散しにくくする低発塵性を従来の2倍まで高めた。2024年度にサンプル品の受注を開始し、26年度に売り上げ15億円を目指す。
産業用ロボットの関節には動作の位置や速度を精密に制御するサーボモーターが搭載されており、自動化の進展とともに、ロボット用サーボモーターの市場規模も拡大傾向にある。
しかし、エンコーダーやブレーキのディスク汚染が生じると、エンコーダーの読み込みエラーや、ブレーキが滑るなどの不具合が発生し、最悪の場合、ロボットが停止してしまう。このため、ディスクを汚染しないよう、飛散しにくいグリースや密封性の高いシールの開発が求められていた。
同社は、軸受から飛散した油がエンコーダーやブレーキのディスクを汚染するメカニズムを突き止めるため、試験などで検証。試験結果をもとに低発塵性に優れたグリースやゴムシールを開発した。
新開発のグリースは、高温の環境でも蒸発を抑え、耐熱性に優れた組成となっている。ゴムシールも内輪と接触する先端部分を新たな形状に改良した。この改良により、従来品に比べ低発塵性が2倍になり、焼き付き寿命も2倍となった。
同社では今後、開発したグリースとゴムシールをサーボモーター用以外の製品にも応用し、幅広い産業機械の稼働安定化に貢献する製品の開発を進めていく。