ケンブリッジ大、プラスチックと温室効果ガスを同時に有用物質に変換するソーラーシステムを開発

Credit: Reisner Lab

ケンブリッジ大学の研究チームは、太陽エネルギーだけを用いて、プラスチックゴミと温室効果ガスを有用で価値のある化学物質に変換するシステムを開発した。研究成果は、『Nature Synthesis』誌に2023年1月9日付で公開されている。

太陽光を利用してプラスチックゴミや温室効果ガスを削減するリサイクル技術が期待されているが、同時にこの2種類に対応する技術はこれまでにないという。研究チームが開発した技術は、1つのリアクターで二酸化炭素とプラスチックをさまざまな産業分野で役立つ物質に変換する。リアクターは、プラスチック用と温室効果ガス用の2つのコンパートメントが統合されたもので、シリコンに代わる次世代太陽電池として期待されるペロブスカイトをベースにした光吸収体を用いている。反応は、常温常圧の条件下で進む。

今回の実験ではまず、二酸化炭素を合成ガスに、ペットボトルを化粧品業界で利用されているグリコール酸に変換した。また使用する触媒を変えることで、グリコール酸と合成ガス以外にも、一酸化炭素、ギ酸などさまざまな炭素系燃料に変換できることを明らかにした。さらに、従来の光触媒による二酸化炭素還元プロセスと比べて、はるかに迅速に生成物を産生できることもわかった。

研究チームによると、一般的に二酸化炭素の変換には多くのエネルギーを必要とするが、開発したシステムでは基本的に太陽光を照射するだけでよいという。また、現在はかなり単純な炭素系分子に変換しているが、将来的には使用する触媒によって、複雑な化学物質に変換できる可能性がある。

太陽エネルギーを用いて自然界が直面している二大脅威であるプラスチックゴミと温室効果ガスを同時処理できる技術は、循環型経済の発展にとって画期的なものになるかもしれない。

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