- 2023-2-17
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- アメリカ国立電波天文台(NRAO), グリーンバンク望遠鏡(GBT), プラネタリー・ディフェンス(惑星防衛), 次世代大型電波干渉計(next generation Very Large Array:ngVLA), 米Raceon Intelligence & Space(RIS), 米グリーンバンク天文台(GBO), 超長基線電波干渉計群(VLBA), 高出力次世代惑星レーダーシステム
アメリカ国立電波天文台(NRAO)、米グリーンバンク天文台(GBO)、米Raytheon Intelligence & Space(RIS)の科学者チームが、地球上で記録した月のレーダー画像としては最も解像度が高い画像を撮影することに成功した。
チームは、米ウェストバージニア州にある世界最大の可動式電波望遠鏡であるグリーンバンク望遠鏡(GBT)と、口径25mの素子アンテナ10台で構成されている超長基線電波干渉計群(VLBA)を使用し、GBT用に設計された高出力次世代惑星レーダーシステムのプロトタイプをテストした。
13.9GHz帯の電波を最大700Wで出力する低電力レーダー送信機でGBTから月面に向けてレーダーを照射し、レーダー反射波をVLBAが受信する仕組みだ。月面のティコクレーターは解像度5mで撮影され、地球から見た月面がこれまでにないほど鮮明に映し出された。
VLBAと次世代大型電波干渉計(next generation Very Large Array:ngVLA)を受信機として用いるGBT用に、出力500kWのKuバンド(13.7GHz)惑星レーダーシステムの設計が進められており、実現すれば、出力は約1000倍に、波形帯域幅は数倍となり最大600MHzまで対応できるようになるという。
こうしたレーダーシステムは、地球に衝突する恐れがある小惑星などを早期発見して、地球への衝突を防ぐプラネタリー・ディフェンス(惑星防衛)に有用で、地球に衝突する可能性がある危険な対象物の捕捉、追跡、分析への活用が見込まれている。