日本精工は2023年3月16日、電気自動車など電動車に搭載されるeAxleの電食対策製品のラインアップを拡充したと発表した。新たな電食対策製品を導入することで、eAxleの信頼性向上や小型化、電動車の航続距離延長などが期待できるとしている。
新たに開発されたのは、樹脂皮膜軸受と樹脂モールド軸受、導電ブラシの3つ。樹脂皮膜軸受は、軸受の軌道輪の外周面と端面に樹脂をスプレーし、焼結することで数十μmの薄い絶縁皮膜層を形成している。これによってeAxleに必要な絶縁性を、セラミック玉軸受より低コストで実現した。絶縁膜が薄いため、ハウジング寸法を変更しなくても従来品と置き換えられる。
樹脂モールド軸受は一般樹脂材料を使用して性能とコストを両立。eAxleに必要な絶縁性を備えつつ、セラミック玉軸受より低コストで製造できる。
また、新たに開発した導電ブラシは、従来の導電ブラシと異なり、冷却油を使った潤滑環境下でも導電性を確保できるのが特長で、シャフト内部に製品を組み込むことでユニットの省スペース化も可能になる。eAxleのモーターは高効率な油冷方式が採用される傾向にあり、今後の需要が見込める。
カーボンニュートラルの実現に向けて、電動車への期待が高まっているが、電動車普及の重要課題の一つにeAxleの電食対策がある。電食対策には、セラミック玉軸受の採用が一般的だが、コストの高さが難点となっていた。
同社は、これらの製品の基礎的耐久評価を終えており、実用化に向けた提案も可能。2030年に75億円の売り上げを目指すとしている。