- 2016-10-11
- ニュース, 電気・電子系
- 住友化学, 東京大学, 神奈川科学技術アカデミー
東京大学は2016年10月7日、蚊の触角にある嗅覚受容体を利用して、人間の汗の匂いを感知するセンサの研究開発に成功したと発表した。
同研究には、東京大学生産技術研究所の竹内昌治教授、神奈川科学技術アカデミーの三澤宣雄研究員、藤井聡志研究員、住友化学らが参加。竹内教授らは今回、細胞膜を模擬した脂質2重膜(人工細胞膜)を形成する方法を用い、単離精製した蚊の嗅覚受容体を膜中に再構成した。
この嗅覚受容体は、人間の汗の匂い成分(オクテノール)に特異的に反応し、膜の導電率を変化させる。開発されたセンサは、この変化を読み取ることで、人間の匂いを感知する。
竹内教授らの研究グループは、同センサを小型の無線装置に取り付けてから移動ロボットに搭載。その後、ロボットの周辺にオクテノールを漂わせ、匂いをセンシングしたロボットの駆動に成功した。
災害現場などでは、視界不良のために画像探査などが不可能になることがある。研究グループは、そのような場所で行方不明者を探すため、今回開発したセンサの応用を目指している。