ニュースでは取り上げられても、ものづくりエンジニアニーズが本格化してこない「IoT」


本コラムは、エンジニア専門の人材紹介会社メイテックネクストのキャリアコンサルタント・河辺真典氏からの寄稿です。旬のキーワードを取り上げ、エンジニアのキャリア形成に役立つ情報を発信していきます。


ここ最近、製造業関連のニュースを読んでいると、「IoT」というワードをよく目にします。

「IoT向けのチップ/デバイスが登場」「IoTで蓄積したビッグデータをビジネスにどう活用するか」「IoTの普及に伴い、セキュリティ対策をどうするか」といった具合に、さまざまな角度からIoTについて取り上げているようです。

これだけIoTに注目が集まると、企業内でもIoT関連のエンジニアに対するニーズが高まるのではないか――。そう考える人もいるかもしれませんが、実情はそうでもありません。

IoT関連のエンジニアを採用したいというニーズは一部にはあるものの、全体を見ると本格的に盛り上がってきているわけではないのです。

工場でのIoT活用、既存の生産管理システムとどう違う?

一口に「IoT」といっても、その用途は産業機械などのBtoB製品もあれば、スマートフォンと連動する家電のようなBtoCの製品もあります。

BtoBとBtoC、そのどちらでもIoTエンジニアに対するニーズが目立って増えているわけではないのですが、今回はBtoB分野に絞って現状を詳しくお伝えしていきましょう。

BtoB分野のIoT活用といえば、まず工場での利用が考えられます。インダストリー4.0やスマートファクトリーといった呼ばれ方もしていますが、工場にIoT対応の機器を導入していくことで稼働状況をチェックし、生産効率の向上、故障の事前予測などに役立てようというアイデアです。

ただ、そうした方向性の取り組みは、工場ではかなり以前から進められているとも言えるのです。産業機械の状態をセンサで把握して、有線ネットワークを使ってコンピュータに集約し、稼働状況を確認できるようにしようと、少なくない数の工場が既に生産管理システムを導入しているわけですから。

「これまでの生産管理システムとどう違うの?」と質問されたとき、あなたならどう答えるでしょうか。

「IoT+機械学習で、故障を事前予測する精度が上がる」「有線でなく無線で通信する」「収集できるデータの種類が幅広くなる」「PC 1台ではなくて、クラウドでデータ処理する」といった技術的な違いはあります。一部には、IoTを活用して確かに生産性を改善した事例も出てきてはいます。

けれど大半の人は、「IoTに本格対応すると工場の生産性はどれくらい向上するの?」という質問に対して、明確な答えを用意できないのではないでしょうか。

確かに注目を集めている技術ではあるが、導入するメリットが具体的に見えてこない。IoTエンジニアに対するニーズが本格的に盛り上がってきていないことは、そのあたりに原因があるのかもしれません。

しかし、冒頭でも「IoT関連のエンジニアを採用したいというニーズは一部にはある」とお伝えしたように、一部ではIoT関連の採用ニーズが見え隠れしています。現在、確認できるIoT関連の採用ニーズとはどんなものなのか、次回の記事で取り上げていきます。


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河辺 真典(メイテックネクスト 執行役員)

メイテックネクストでは、エンジニア専門特化の強みを生かし、豊富な業界知識・技術知識に基づいて「失敗しない転職」のお手伝いをいたします。
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