現在主流のシリコン系太陽電池に続く次世代の発電技術として、有機物を使って作られたオーガニック太陽電池の研究が進められている。
オーガニック太陽電池は非常に薄く、曲げることが可能で、半透明といった特徴がある。シリコン系太陽電池は建物の屋根などに設置して利用されているが、オーガニック太陽電池は窓に貼り付けるなど、さまざまな場所に設置できるというメリットがあるという。
そうした利点があるオーガニック太陽電池だが、現状では発電効率などの面で、シリコン系太陽電池に大きく後れを取っている。しかし、独フリードリヒ・アレクサンダー大学が2016年6月23日、「オーガニック太陽電池の製品寿命を大幅に延ばし、発電効率を向上させる新たな分子」に関する研究成果を発表した。詳細については、『NATURE COMMUNICATIONS』に掲載されている。
オーガニック太陽電池はフラーレンポリマーを使って製造されることが多いが、フラーレンを使うと発電効率はともかく、30年以上は稼働するシリコン系太陽電池と比べて、耐久性の面でかなり見劣りしていた。
フリードリヒ・アレクサンダー大学の研究チームは、フラーレンに換わる有機分子を発見。製品寿命が大幅に延びるだけでなく、フラーレンが吸収できる光量と比較して、ずっと多くの光を電気に変換できると説明する。しかも、彼らが発見した分子で作ったポリマーは、最大140℃になっても安定。製造原価もずっと安く抑えられるとしている。
研究チームの1人は「この素材を利用することで、電力変換効率10%以上の安定した太陽電池を開発できるようになるだろう」とコメントしている。