MISTは2016年10月3日、独自の分析フレームワークによって最適なエンドミル切削条件を理論的に導き出す切削加工最適化システム「切削キャッチャー」を発表した。
切削キャッチャーは、ファンダメンタル分析、ミクロ分析、マクロ分析の3モジュールから構成される独自の分析フレームワークを用い、エンドミル切削プロセスの複雑なメカニズムを解析し、科学的論拠に基づいて実用的な加工条件を最適化する。
ファンダメンタル分析では、二次元切削状態における刃先と被削材の関係を評価する。一方ミクロ分析では、回転運動をしている刃先と被削材との平面的な関係を分析。マクロ分析においては、エンドミル刃の捻れ状態を加味した三次元のダイナミックな幾何関係を解析する。
この分析体系には、工具のびびり振動解析(強制振動診断)が備わっている。そのため、切削キャッチャーは想定外の工具振動、チッピング、破損を事前に予測・回避できる。
切削キャッチャーを利用すれば、加工時間の短縮が可能だ。切削キャッチャーには、除去容積の大きい粗取り加工などの加工時間を8割以上短縮した実績が数多くある。例えば実際、120分掛かっていた二輪用ギアケース(アルミ材)の粗取り加工時間を83%減の20分に短縮できたという。
また、切削キャッチャーが導き出した切削条件で加工すれば、工具摩耗を限界まで低減し、エンドミル(切削工具)を本来の寿命まで使い切れる。切削キャッチャーには、工具摩耗を一切生じさせずに生産効率を20倍へ向上させた実績がある。
さらに、切削キャッチャーはマシニングセンタ(工作機械)のポテンシャルを最大限引き出せる。5軸マシニングセンタに適用する場合でも、マシニングセンタの能力(主軸剛性・送り速度・加減速)を加味した上で、最適な加工条件を設定できるという。
MISTは、2016年秋から本格的に切削キャッチャーの拡販活動を開始する予定としている。