東洋紡は2022年3月28日、フランス政府系研究機関CEAと共同で、暗電流が低く高感度なOPD(有機光ダイオード)モジュールを試作したと発表した。同発表によると、世界トップクラスの低暗電流だという。IoTデバイスの光センサー向けに、2025年までの実用化を目指す。
同モジュールは、−5Vの電圧を印加した際の暗電流が10−9A/cm2以下となっている。発表によると、市販されている一般的なシリコン光ダイオードよりも微弱な光を検出できるという。
ガラス基板とPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム基板のいずれを用いた場合でも、同レベルの低暗電流を実現した。
光量の強弱を電気信号に変換する光ダイオードは、一般的にシリコンなどの無機物を用いた光電変換材料をガラス基板に高温で蒸着する手法で製造されている。一方で同社は、ガラスやプラスチックの基板に液状化した有機光電変換材料を塗布して製造するOPDの開発を進めている。
同社とCEAは、2019年に有機薄膜太陽電池向け発電材料、2020年には有機光電変換材料の共同開発を開始しており、この度のOPDモジュール試作に至った。
OPDは製造方法が容易で、製造時のコストや環境負荷を低減できる。また、フィルムなどのフレキシブルな基板を用いることができるため、自由な形状の光センサーの実用化に寄与する。
同社は今後、IoT家電や指紋認証デバイスといった用途での早期実用化を目指す。