福島大学、インクジェット印刷で厚さ53ミクロンの結晶シリコン太陽電池を作製

福島大学は2016年10月5日、インクジェット印刷によって高精度の電極の形を描くことにより、厚さ53ミクロンの結晶シリコン太陽電池を作製したことを発表した。

53ミクロンは新聞紙よりも薄く、曲げることが可能。薄くすることで軽くなりしかも作製コストが下がる。現在太陽光発電用に用いられている結晶シリコン太陽電池の厚さは200ミクロン程度が一般的だ。

太陽光を受ける面に電極がない裏面電極型で、しかも支持基板のない自立した状態で曲げることができる太陽電池は世界初となるという。

裏面電極型は変換効率が良く美観にも優れ、しかも配線が容易という特徴を持つ。しかし作製には高い精度を必要とし装置も高価だ。また作製中に加わる力によって割れないように、支持基板に貼り付けて強化することが必要だった。今回の福島大学の研究では、対象物に余計な力を加えないインクジェット印刷を用いることで、厚さ53ミクロンで支持基板のない裏面電極型太陽電池の作製に成功した。

軽くてしかも曲面に沿わせて太陽電池が設置できるため、建築物や携帯電話、自動車などへの応用が期待されるという。

現在の変換効率が10.7%だが、同大学では20%程度の変換効率の達成は可能と考えており、今後は変換効率の向上を進めるとしている。

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