京大ら、イオンの流れを光でスイッチングできる固体材料「光応答性イオン伝導体」を開発

京都大学らは2017年4月11日、金属イオンと有機物からなる結晶を用いて、イオンの流れを光によって制御できる新たな材料の合成に成功したと発表した。

同研究は科学技術振興機構(JST)戦略的国際研究プログラム(SICORP)の一環として、京都大学、フランスIRCELYONの共同研究グループによって行われた。

固体中でイオンを伝導、輸送する物質である「固体イオン伝導体」は、携帯電話のバッテリーや自動車に搭載する燃料電池などに利用されている。こうしたイオン伝導体は、一定の温度で電圧を加えることによってイオンが流れ始める性質を持つが、電圧だけではなく、光などの刺激によって任意にイオンの流れを制御できれば、電池だけではなくさまざまなデバイスへの応用の可能性が生まれる。しかし、固体の状態でそのような性質を持つイオン伝導体の設計は困難であった。

今回開発した材料は、金属イオンと有機物が結合してできる「配位高分子」と呼ばれる結晶材料を用いて、光をあてると水素イオンを伝導し、止めるとイオンの伝導も停止する光応答性イオン伝導体だ。

今回の研究によって、電子、エレクトロニクス分野で応用されてきたメモリーやトランジスターなどのデバイスを、イオンに置き換えた新たな技術が生まれる可能性がある。サイズや電荷が多彩なイオンは電子と異なる振る舞いを固体内で示すために、イオンならではの特性が期待されるという。

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