東北大、液体ヘリウム不要の超伝導磁石で世界記録の24.6テスラの磁場を発生

東北大学は2017年4月13日、東芝、古河電気工業と共同で高温超伝導材料を用いた無冷媒高温超伝導磁石を開発したと発表した。直径52mmの室温実験空間に、世界記録となる24.6テスラの強磁場を発生させることに成功している。

超伝導磁石は、高効率で高精度の磁場を安定的に発生させられる磁石。だが、その多くは液体ヘリウムで冷却する必要があり、1992 年ごろから液体ヘリウムを使った冷却が不要な無冷媒超伝導磁石の利用が増えていった。ただし、無冷媒超伝導磁石の発生磁場はこれまで高温超伝導材料を使っても、20.1 テスラの磁場を発生させることが限界だった。

研究チームは、強磁場中でも高い超伝導特性を有する高温超伝導材料のうち、住友電工が開発した高強度ビスマス系超伝導線材と、古河電工と東北大で共同開発した高強度ニオブ 3 スズ・ラザフォード導体を採用。高強度ビスマス系高温超伝導内層コイル、高強度ニオブ 3 スズ・ラザフォードケーブル中層コイル、ニオブチタン・ラザフォードケーブル外層コイルの 3 種類のコイルで構成し、冷凍機によって熱伝導で冷却する超伝導磁石を開発した。通電することで、最大 24.6 テスラの磁場が発生することを確認。1時間で定格である24.5テスラに到達したと報告している。

さらに世界最高磁場となる24.2テスラの環境下で、核磁気共鳴(NMR)測定にも成功。これまでの記録だった24.0テスラを若干上回った。約4週間の実験中、最大4 日間にわたって24.2 テスラの磁場を保持できたことから、最高磁場で長時間の磁場保持と、固体NMR測定に必要な安定度があることも確認できたとしている。

本研究は東北大学金属材料研究所附属強磁場超伝導材料研究センターによるもの。開発した超伝導磁石は全国の研究者に公開される。この開発によって得られた技術は、より強い磁石の開発やMRIなどの超伝導磁石を用いた機器に応用される見通しだ。

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