- 2017-5-18
- 制御・IT系, 化学・素材系, 技術・スキル市場分析, 機械系, 転職・キャリアアップ, 電気・電子系
本コラムは、エンジニア専門の人材紹介会社メイテックネクストのキャリアコンサルタント・河辺真典氏からの寄稿です。旬のキーワードを取り上げ、エンジニアのキャリア形成に役立つ情報を発信していきます。
「転職しよう」と考えたとき、皆さんはどんな手段で転職先を探すでしょうか。
厚生労働省の「雇用動向調査」によると、転職者が転職先の企業を探したときに使った手段は、「広告」(32.9%)、「縁故」(25.0%)、「職業安定所」(22.1%)などとなっています。
このうち、3.4%を占めていたのが「民営職業紹介所」。いわゆる人材紹介会社です。
このように、人材紹介会社を利用する人の比率は、まだ決して高くありません。けれど使い方によっては、自分1人で転職情報サイトを探すだけでは見つけられなかった求人情報と出会うことができるようになるかもしれません。もちろん、人材紹介会社を利用して転職しても、転職者には一切の費用はかかりません。
今回はそんな人材紹介会社との上手い付き合い方について、紹介していこうと思います。
人材紹介会社の求人数は、転職情報サイトの数倍に
人材紹介会社を利用するメリットの1つとして、転職情報サイトよりも取り扱う求人数が多いことが挙げられます。
例えば、私どもメイテックNEXTが取り扱う製造業エンジニアの求人数は常時1万件以上。一方、大手の転職情報サイトに掲載されている製造業の求人数は、営業職や事務職などを含めても2000~3000件前後となります。
企業は「広告費を出してでも、すぐに/大量に採用したい」という求人は転職情報サイトに掲載しますが、「即戦力になる実績・スキルを持つ優秀な人材が見つかったときだけ採用したい」「非公開で重要な役職を任せられる人材を募集したい」といった求人は掲載していません。人材紹介会社には、前者の求人はもちろん、後者の求人も相談が寄せられますので、取り扱う求人数が多くなるのです。
「自分の求めている仕事」を相談しながら考えられる
それだけ多くの求人があると、転職希望者にとっては逆に「どこに応募すればいいのか」と迷うことになるかもしれません。
自分の求めている仕事は、どの企業に入れば任せてもらえるのか。それを見極めるところでも、人材紹介会社は転職希望者をお手伝いできます。
例えば、「転職先で機械設計をしたい」と希望していたとします。けれど、機械設計の求人は、ロボット、工作機械、自動車、医療機器といったように、さまざまな分野の企業が出しています。同じメーカー、同じ設計の仕事であっても、製品分野の違いによって、製造業エンジニアに求められる業務内容や待遇、企業風土などは大きく変わってくるわけです。「その中で、自分が一番やりがいを感じられる理想の職場はどこか」と自分1人で考えて選び出すことは非常に難しいことだと思います。
人材紹介会社と付き合うメリットは、応募する求人を選ぶ一助になるところにもあります。
人材紹介会社のキャリアコンサルタントは、「○○分野のメーカーでこんなところに不満を持ったエンジニアは、△△分野のメーカーに転職してやりがいを感じながら働けるようになった」など、過去に転職をお手伝いした製造業エンジニアが現職のどんなところに不満を持って転職を決意したのか、さまざまなケースでの転職をサポートしてきています。どの分野の企業にはどんな特徴があるのか、これまでの転職支援の経験などから理解していますので、転職を検討している方の希望さえ分かれば、希望を満たす求人をかなりの高確率で紹介できるのです。
“人間AI”を有効活用するために、自分の希望を十分に“インプット”しよう
ですから、人材紹介会社との上手い付き合い方としては、自分の「希望」をしっかりと開示していただくことが重要になってきます。
これまでの仕事の中でどんな業務にやりがいを感じたのか、逆にどんな仕事を命じられてモチベーションが下がったのか。転職を検討してから出会った求人情報のうち、これまでどんな求人に興味を持って応募したのか、どんなところに不満があって応募しなかったのか。そうした情報を、しっかりと人材紹介会社のキャリアコンサルタントに伝えてください。
一見、転職とは関係なさそうな「こんな製品が好き」「昔、飛行機の設計をしたいと考えていた」といった自分の興味・関心を語っていただくのも、キャリアコンサルタントにとっては有意義な情報になります。
「これまでのキャリアを拝見する限り、航空機自体を開発している企業に推薦することは難しいけれど、関連する分野の企業には紹介できるな」「なぜ航空機を設計したかったのだろう。流体力学に興味があったのなら、航空機ではないけれども、こんな製品の設計で流体力学の知識を生かせるな」など、“インプット”される情報が多くなればなるほど、“人間AI”であるキャリアコンサルタントが提案できる求人の精度は上がってくるのです。
「フィットするかどうか」で付き合う人材紹介会社を選ぶべき
さまざまな人材紹介会社が転職希望者のサポートをしているわけですが、転職活動時に付き合う人材紹介会社を選ぶ際、私はこの「“人間AI”(=キャリアコンサルタント)と、自分の感覚がフィットするかどうか」「自分の言っていること、希望していることを、キャリアコンサルタントが理解してくれているかどうか」が非常に重要だと考えています。
企業が活発に人材を募集している現在、大手と言われる人材紹介会社が取り扱っている求人は、質・量共にそれほど大きな違いはありません。データベース自体の違いがないのであれば、あとはデータベースから最適な求人を検索して提案してきてくれる“人間AI”の精度によって、希望どおりの求人を見つけられるかどうかが決まってくるわけです。
だからこそ、人材紹介会社と付き合って転職活動をしてみようと思ったら、最初に転職相談のために訪れた1~2時間の面談で、できるだけ自分の希望を伝えて、キャリアコンサルタントの反応を確かめてください。
自分にとってフィットする相手だと感じたら、あとは転職活動をして感じたことをできるだけ開示していただければ、さらに提案する求人の精度が上がっていきます。どうにもフィットしないと思ったら、別の人材紹介会社に相談してみるのもいいでしょう。
そのようにしっかりと自己開示をしていただいて、自分とフィットするキャリアコンサルタントを見つけ出すこと。これこそが人材紹介会社と上手く付き合っていくコツだと私は考えています。
河辺 真典(メイテックネクスト 代表取締役社長)
メイテックネクストでは、エンジニア専門特化の強みを生かし、豊富な業界知識・技術知識に基づいて「失敗しない転職」のお手伝いをいたします。
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