包装設計・梱包設計とは?基礎知識から仕事内容、設計における重要なポイントを解説!

スーパーやコンビニ、ホームセンターなどでは、食品や日用品、電化製品などがきれいに包装されて販売されています。また、こうした店舗の裏では、積み上げられたダンボール箱がトラックから荷下ろしされています。この当たり前にある光景は、包装設計や梱包設計に支えられていることをご存じでしょうか?

この記事では、包装設計や梱包設計について、基礎知識や仕事内容、設計における重要ポイントを解説します。ぜひご覧ください。

包装設計・梱包設計とは?

包装設計・梱包設計について、以下の2点に分けて解説します。

1. 「包装」と「梱包」の違いは?
2. 「包装」と「梱包」の目的とは?

それぞれ見ていきましょう。

1. 「包装」と「梱包」の違いは?

「包装」と「梱包」に違いはありますが、完全に別のものを指しているわけではなく、包装という大きな枠組みの中に、梱包という概念が含まれているのです。

JIS(日本産業規格)によると、包装は「物品の輸送、保管、取引、使用などに当たって、その価値及び状態を維持するための適切な材料、容器、それらに物品を収納する作業並びにそれらを施す技術又は施した状態」と定義されています。

一方、梱包の定義は「輸送を目的とした木製容器、鋼製容器、段ボール製容器などによる包装。荷造りと呼ぶこともある」となっています。

包装の定義には「物品の輸送、保管、取引、使用」、梱包の定義には「輸送を目的」とあることから、包装の中でも輸送を目的とする場合は梱包と呼ぶことが分かります。

そのため包装設計は、物品が生産者から消費者に届くまでの包装全てに関わるのです。それに対して梱包設計は、中間業者への輸送や配送に関わる包装がメインです。梱包は「輸送包装」や「配送包装」とも呼ばれます。

2. 「包装」と「梱包」の目的とは?

「包装」と「梱包」には、さまざまな目的があります。一番大きな目的は、物品の品質保全です。物品は生産者から消費者に、そのままで届けることはできません。水や水蒸気、光、ガス、香気、臭気、ほこり、虫、微生物など、あらゆる外的な影響から品質を守るために包装が必要なのです。これは逆に、物品自体の水分や臭気などを外部に漏らさないためでもあります。

さらに包装は、消費者への説明や購買意欲を高めるためのデザインなど、適切な表示やアピールをするためにも重要です。これらの包装は、品質保全のための包装と合わせて「商業包装」と呼ばれます。

また、包装の中でも梱包は、輸送中における落下や衝突など、外部の衝撃から物品を保護することが目的です。他にも、輸送の効率性や経済性なども求められます。これらは「商業包装」に対して、「工業包装」と呼ばれています。

包装の種類と役割は?

包装の種類と役割について、以下の3点に分けて解説します。

1. 個装
2. 内装
3. 外装

物品を保護するためには、何重もの包装が必要です。それぞれ見ていきましょう。

1. 個装

個装は、個々の物品を保護するための包装です。キャンディを一つひとつ個別に包んでいる包装を考えていただけるとよいでしょう。JISの定義では「物品個々の包装で、物品の商品価値を高めるため若しくは物品個々を保護するための適切な材料、容器、それらを物品に施す技術又は施した状態。商品として表示などの情報伝達の媒体にすることもできる」とされています。

2. 内装

内装は、個装をさらに保護したり、まとめたりするための包装です。個装に包まれたキャンディが複数入っている、袋入りキャンディのパッケージなどを指します。JISの定義は「包装貨物の内部の包装で、物品に対する水、湿気、光、熱、衝撃などを考慮した適切な材料、容器、それらを物品に施す技術又は施した状態」となっています。

3. 外装

外装は、内装をさらに保護して、まとめて輸送しやすくするための包装です。袋入りキャンディの場合は、外装となるダンボール箱に梱包されて小売店に配送されます。JISでは「包装貨物の外部の包装で、物品若しくは包装物品を箱、袋、たる、缶などの容器に入れ又は無容器のまま結束し、記号、荷印などを施した材料、容器、又は施した状態。二次包装ともいう」と定義しています。

包装設計・梱包設計の仕事内容は?

包装設計・梱包設計の仕事内容は、物品に応じて必要とされる個装、内装、及び外装を施すことです。

品質保全や消費者へのアピールのために、物品のパッケージとなる個装や内装は、適切な素材やサイズ、色、形、デザインなどを考慮する必要があります。さらに、開封しやすくしたり、開封後に再封して保存できるようにしたり、利便性を持たせることも包装設計の仕事です。

また、落下衝撃などから物品を保護するために、梱包設計では緩衝材の設計もしなければなりません。ダンボールや発泡スチロール、エアークッション、ゴムなどの素材を選定し、どのように加工して配置するかを考え、物品の重量やサイズによって、緩衝材の厚みや受圧面積を計算します。

さらに、輸送の効率性や経済性を良くすることも梱包設計の仕事です。一度に多くの物品を運べるように、外装の箱は強度を持たせて積み重ねられるようにします。また、パレットに効率良く積載できるように箱のサイズを調整したり、逆に箱のサイズに合わせてパレットを設計したりします。

包装設計・梱包設計を進める上で重要なポイント

包装設計・梱包設計を進める上で重要なポイントは、以下の3点です。

1. 設計開始前に要件を明確にする
2. 社内状況に応じて外部委託する
3. 全体的な流れを把握する

それぞれ見ていきましょう。

1. 設計開始前に要件を明確にする

包装設計や梱包設計において重要なのは、包装の要件を明確にすることです。物品が生産者から中間業者、そして消費者へ届く過程でどのように扱われるかを考慮し、包装に何が必要なのかを洗い出さなくてはいけません。洗い出しが不十分な場合、後からサイズ変更や機能追加などが必要となり、無駄な手戻り工数が発生します。

物品によって必要とされる個装、内装、及び外装は異なります。例えば、袋入りキャンディの外装に緩衝材を使用するのは過剰包装になるでしょう。輸送コストが高くなるだけでなく、環境保護の観点からも良くありません。JISでは「省資源、省エネルギー及び廃棄物処理性を考慮し、合理的で、かつ公正な包装」を適正包装と定義しています。

2. 社内状況に応じて外部委託する

包装設計や梱包設計は、さまざまな要件を考慮する必要があります。そのため、社内で全てを設計しようとすると、想定以上に時間やコストがかかってしまうこともあります。

物品を消費者に届けるために、包装設計や梱包設計は必要不可欠な仕事です。しかし、そこに限りある社内リソースを割いて、最も注力すべき開発などのコア業務がリソース不足になるのは本末転倒でしょう。

そこで、リソース不足などの社内状況に応じて、包装設計や梱包設計を外部に委託することも重要です。社内リソースを有効に使えるようになるだけでなく、包装や梱包のプロフェッショナルに委託することで、より効率性や経済性の高い設計が期待できます。

3. 全体的な流れを把握する

包装設計や梱包設計は、実際に物品を包装及び梱包できるようになるまでに、ステップを踏む必要があるため、全体的な流れを把握することが重要です。

まず、要件を明確にして仕様を決定します。容積や重量を減らしたい、輸送の効率性や経済性を良くしたいなど、さまざまな提案や要望を出して仕様を決めていきます。

仕様が決まったら設計し、サンプルを作ることが次のステップです。サンプルを作ることで、問題点などが見えやすくなります。サンプルに問題があれば仕様または設計を見直し、問題がなければ評価試験に移ります。

評価試験では、落下試験や傾斜衝撃試験、振動試験、圧縮試験、温湿度試験などを行います。仕様を満たす合格基準を設定し、全てに合格したら量産を開始することになります。

包装設計の仕事に携わる先輩の声

メイテックフィルダーズの志村朋之氏は、入社後、PCメーカーでの包装設計の仕事に配属されました。PCや周辺アクセサリーの梱包は、振動や温湿度を考えて素材を選定する必要があるため、まずは紙や樹脂などの素材の特性を理解するところから始まったそうです。また、パッケージの印刷ではデザイナーと一緒に仕事をし、さまざまなこだわりを持つ人と仕事を進める難しさと楽しさを経験されています。

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まとめ

包装設計や梱包設計について、基礎知識や仕事内容、設計における重要なポイントを解説しました。

物品は個装や内装、外装で品質保全することにより、生産者から消費者へ届けられます。さらに包装は品質保全だけでなく、消費者への商品説明やアピールにも使われます。

また梱包は、輸送や配送の衝撃から物品を保護することが目的です。他に輸送の効率性や経済性なども求められます。

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