使い終わったら自然に還る――スタンフォード大、生分解性のあるエコ電子材料を開発

スタンフォード大学は、人の皮膚のように柔軟で自己再生し、生分解性のある電子材料を開発した。人体や環境への負荷が少なく、医療や環境保護の分野への応用が期待されている。

開発されたのは、食酢などの弱酸で容易に分解する半導体ポリマーと電子部品、そして電子部品を固定する生分解性を備えた基板材だ。この基板材は極めて薄く柔軟性があり、滑らかな表面ばかりでなくでこぼこな表面にも合わせることができる。電子部品も金などの耐食性物質でなく鉄を使うことで、これらの材料で作った電子デバイスは、使い終わったときに全て生分解させ、有害物質を出さないという。

医療の分野では、体に貼付して血圧や血糖値などを測定するセンサー類への応用が考えられており、環境保護の分野では、広域環境調査への応用が提案されている。環境を広範囲に調査するために多数のセンサーをばらまけば回収は難しくなり、回収しなければ環境を汚染してしまう。生分解性電子デバイスを使えば使用後に消滅するので、森の自然を調べるために森を汚すといったことは起こらない。

スマートフォン、ウェアラブルデバイスなど電子機器の普及につれて電子廃棄物の量も増え続けており、国連環境計画(UNEP)のレポートによれば、2017年の電子廃棄物の量は2015年に比べ20%増加し、5千万トンにのぼると予測されている。電子廃棄物の量を減らすには、生分解性が鍵を握っていると研究者達は考えている。

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Flexible, organic and biodegradable: Stanford researchers develop new wave of electronics

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