米コロンビア大学とノースカロライナ大学は2017年9月15日、局所的に白色脂肪細胞を褐色脂肪細胞に変えられる薬用スキンパッチを考案したと発表した。
白色脂肪細胞はエネルギーを貯蔵するが、褐色脂肪細胞はエネルギーを消費する。新生児は寒さから身を守るために褐色脂肪細胞を多めに有するが、成人すると大半の褐色脂肪細胞を失い白色脂肪細胞の比率が増え、余分な脂肪を蓄えて肥満や糖尿病などの代謝障害を招いてしまう。
これまでも白色脂肪細胞を褐色脂肪細胞に変える研究は行われ、服薬や注射で投与する方法が考案されてきた。しかし、これらの投与方法では、全身を薬物にさらすので、胃の不調、体重増加、骨折などの副作用を招く可能性があった。
今回考案されたスキンパッチは、大部分の薬物を脂肪組織に直接届けることが可能だ。薬物を直径が約250nmのナノ粒子で包み、そのナノ粒子をマイクロニードルが付いた1平方cm大の皮膚パッチに充填する。スキンパッチを皮膚に貼ってもマイクロニードルは痛みを伴わずに皮膚を突き刺し、薬物をナノ粒子から放出して皮下組織に放出する仕組みだ。
スキンパッチはマウスでの臨床を済ませた。どの薬物が、そしてどの薬物の組み合わせが最も部分的な脂肪細胞の変化を促し、全体的に新陳代謝を増加させるかを研究している。