大きさ、電力、安定性を向上させたペロブスカイト太陽電池を開発――1000時間以上の長時間高い効率を維持 OIST

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沖縄科学技術大学院大学は2021年1月29日、欠陥を低減した新しい製造技術を用いて、安定性と効率を向上させたペロブスカイト太陽電池モジュールを作製したと発表した。

ペロブスカイトは、次世代の太陽電池技術として最も有望な材料の一つだ。この10年ほどで効率は3.8%から25.5%へと急上昇している。ペロブスカイト太陽電池は製造コストが安く、柔軟性をもつ可能性から、汎用性が高まっているが、長期的な安定性の欠如とスケールアップの難しさという二つの障害が商業化への道を阻んでいる。

機能的な太陽電池デバイスでは、ペロブスカイト層が中央に位置し、二つの輸送層と二つの電極に挟まれている。ペロブスカイト活性層が太陽光を吸収すると、電荷キャリアが発生し、輸送層を介して電極に流れて電流を発生させる仕組みだ。

しかし、ペロブスカイト層のピンホールや個々のペロブスカイト粒子間の境界の欠陥によって、ペロブスカイト層から輸送層への電荷キャリアの移動が乱れ、効率が低下する可能性がある。また、これらの欠陥部位では、湿気や酸素によってペロブスカイト層が劣化し始め、デバイスの寿命を縮める可能性もある。モジュールのサイズが大きくなると、ペロブスカイト層を均一に作ることが難しくなり、欠陥がより顕著になるため、スケールアップをすることが困難だ。

そこで研究者らは、これらの問題に対応した大型モジュールの製造方法の開発を進めた。

現在、製造されている太陽電池のほとんどは、厚さが500nmの薄いペロブスカイト層で作られている。理論的には、ペロブスカイト層が薄いと、電荷キャリアが上下の輸送層に移動する距離が短くなるため、効率が向上するはずだ。しかし、より大きなモジュールを製造する場合、薄い膜にはしばしばより多くの欠陥やピンホールが発生する。

研究者らは、厚さが2倍のペロブスカイト膜を持つ5×5cm2と10×10cm2の太陽電池モジュールを製作した。全体として、5×5cm2の太陽電池モジュールの効率は14.55%を示し、塩化アンモニウムを使用しないモジュールの13.06%を上回った。さらに、この80%以上の効率で1600時間(2カ月以上)も作動することを確認した。より大きな10×10cm2のモジュールでは、効率が10.25%で、1100時間以上、つまり約46日間、高い効率を維持した。

研究の次の段階では、溶液ではなく蒸気を使用する方法でペロブスカイト太陽電池モジュールを製作して技術をさらに最適化する予定だ。現在は15×15cm2のモジュールへスケールアップも試みている。本研究成果は、シリコン系太陽電池に匹敵する効率と安定性を備えた太陽電池モジュールを商業化可能なサイズで製造するために着実な一歩となることが期待できる。

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