阪大など、細菌べん毛モーターがバイオセンサーとして働く仕組みを解明

大阪大学、金沢大学、名古屋大学は2017年11月2日、同大学の研究グループが共同で、細菌べん毛モーターのエネルギー変換装置である固定子複合体がナトリウムイオンを感知して活性化し、モーターに組み込まれる仕組みを明らかにしたと発表した。

大腸菌やサルモネラ属菌などの多くの細菌は、「べん毛」と呼ばれる細長いらせん状の繊維を菌体から生やし、回転させることでさまざまな環境を移動する。このべん毛モーターは、およそ30種類のタンパク質から作られる超分子複合体のナノマシンで、回転運動マシナリーとして働くだけではなく、環境変化を感知するバイオセンサーとしても機能する。

これまでに、べん毛モーターが回転する仕組みは解析されてきたが、バイオセンサーとして働く仕組みについては長い間謎だった。最近になって、べん毛モーターの固定子複合体が外環境変化を感知し、回転子リング複合体の周りに配置される固定子の数を自律的に制御することがわかってきたが、膜タンパク質である固定子複合体は、その取り扱いが困難であるため、詳細な仕組みは不明だった。

今回、共同研究グループは固定子複合体の単離精製に成功し、高速原子間力顕微鏡を用いて固定子複合体1分子の振る舞いをリアルタイムで捉えることに成功した。観察の結果、モーターを回転させるために必要なエネルギー源であるナトリウムイオンが結合すると、固定子の一部が規則正しく折りたたまれ、モーターに組み込まれることを明らかにした。

今回の成果は、高効率で回転するモーターの回転機構を解明する第一歩になるとともに、生体内のナトリウムイオンを正確に測定できるバイオセンサープローブへの応用や、ナトリウムイオンによって生体分子の機能をON/OFF制御できるナノデバイスへの応用が期待できるとしている。

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