立命館大学は2018年1月12日、ウェアラブルデバイス用の無線送電手法として、受電機との距離に応じて送電電力を制御する電力制御付き送電機を開発したと発表した。また、資生堂と共同で、超小型受電機を取り付けた「光るつけまつげ」を開発し、離れた場所から点灯させることに成功した。
ウェアラブル機器を数メートル先から電磁波で無線給電できれば、電池切れの心配なくウェアラブル機器を常時使用できる。しかし、その場合、送電電力を大きくする必要があるため、電界強度が人体の電磁波に対する防御指針で示された61.4V/mを超えてしまう問題があった。
一方、これまでも、ウェアラブル機器を近接させることで充電する近接型の無線給電システムは実現されていた。しかし、電磁波で近距離から機器に給電し直接駆動する手法は実用化されていなかった。
今回開発した送電機は、超音波を用いた距離センサーによって人体との距離を計測し、距離に応じて送電電力を制御できる。そのため、人体と送電機間の距離が変動しても、防御指針以下に制御した電解強度の電磁波を放射できる。また、受電機には、光ファイバーにレクテナ(アンテナ、整合回路、整流回路)とLED を組み込んだ一体型の受電機を使用。これをつけまつげに取り付けた光るつけまつげを開発した。
実証実験では、1.5m離れた場所から電力10Wの送電により、つけまつげに取り付けたLEDを電池や配線がない状態で点灯することに成功。送電機と受電機の距離を変化させてもLEDの輝度が変化しないことを確認した。
今後は、ファッションとして広がるよう「光るつけまつげ」の完成度を上げるとし、他のウェアラブルデバイスへの展開も期待されるとしている。