JSTと名大、ナノグラフェンをジッパーを閉じるようにつないで合成する手法を開発

科学技術振興機構(JST)と名古屋大学は2018年1月26日、ベンゼン環をジッパーで閉じるようにつなぎ合わせることでナノグラフェンを合成する手法を開発したと発表した。

炭素原子だけでできたシート状の物質であるナノグラフェンは、ベンゼン環が多数連結した構造をもつ。優れた電気的性質を示すため、多くの電子機器に応用されるなど、次世代材料として注目されている。しかし、ベンゼン環を自在につなぎ合わせることは容易ではなく、構造が精密に制御されたナノグラフェンの合成は困難だった。

研究グループは今回、ベンゼン環が直線状に連結した分子であるフェニレンをまるでジッパーで閉じるようにつなぎ合わせ、ナノグラフェンを効率的に合成することに成功した。同手法では初め、ベンゼン環が直線的に連結した分子であるフェニレン同士を、パラジウム触媒で環構造を作りながらつなぎ、ジッパーの留め具部分となるトリフェニレン構造を構築。続くショール縮環反応により、2つのフェニレンをまるでジッパーで閉じるようにしてつなぎ、ナノグラフェンを合成する。

具体例として、市販されている単純なベンゼン誘導体から小さなナノグラフェン(C60H26)を合成。また、ベンゼン環を10個持つ新しいナノカーボン分子やナフタレンを持つナノカーボン分子、さらには、窒素や硫黄を含む二量体分子も合成した。

炭素以外の元素も導入できるとし、有機EL材料として有用なホールを輸送する機能など、新たな機能を付与できると説明。また、同手法で合成されるナノカーボン材料を応用することで、曲げられる有機ELディスプレイの開発や太陽電池の効率化など、非常に幅広い応用が期待できるとしている。

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