東洋ゴム工業は2018年5月30日、タイヤが実際の路面を動いているのと同じ状態で、タイヤと車両の空力特性を解析・予測できる「モビリティ・エアロダイナミクス(空力シミュレーション)技術」を独自に開発したと発表した。
同技術を用いれば、トレッドパターンなどの複雑なタイヤの形状、実際にタイヤと組み合わせる車両やホイール、荷重や走行速度、走行の姿勢角などによるタイヤ接地変形などを考慮した上で、タイヤの空力特性を高精度にシミュレーションできるようになる。
車両全体が受ける空気抵抗のうち、タイヤが占める割合は約15%だという。今後は自動車メーカーが車両を開発する際に目標とする燃費や航続距離に対して、個別の車両に求められる空力特性を踏まえ、最適なタイヤを提案するといった対応も可能になるという。
東洋ゴム工業は、タイヤ解析技術とドライビングシミュレーションを融合したタイヤ設計基盤技術「T-mode」を開発し、設計の期間短縮や精度向上に役立ててきた。今回のモビリティ・エアロダイナミクス技術は、T-modeを進化させた技術。「荷重や走行条件等によるタイヤの変形」「不連続なタイヤパターンを考慮したタイヤの回転」「タイヤと路面との接触状態を考慮した空気の流れ場」など、実際に自動車が影響を受ける動きや状態をさまざまな数値計算手法で数値化して組み合わせることで、タイヤや車両周りの空気の流れ場をシミュレーションできるようにしたもの。先行研究では実現されていなかった領域にアプローチして確立したものだと説明している。