ホログラフィーとツイスター理論を結びつける新たな数学――空間と時間の統一的な理解に向けて

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沖縄科学技術大学院大学(OIST)は2018年3月29日、同大学の量子重力ユニットを率いるヤーシャ・ネイマン准教授の論文が「Journal of High Energy Physics」誌に掲載されたと発表した。ホログラフィーやツイスター理論など物理学で確立されたアプローチを土台に、空間と時間に対し幾何学的な新たな視点を提示している。

ホログラフィーとは、1990年代後半に開発された、宇宙を構成する物質が1次元の物で構成されているという弦理論から派生したもの。過去20年間、ホログラフィーは量子重力の思考実験を行うための貴重なツールだったが、宇宙論的な観測からこのアプローチは我々の世界には適用できないことがわかった。

1960年代にイギリスの物理学者であるロジャー・ペンローズが提唱したツイスター理論では、幾何学的な「点」は、延伸した光線によく似た形状の「ツイスター」というものに置き換えられており、電磁気や重力のような光速で移動する「場」を表現する非常に効率的な方法となった。しかし実際は電荷間の電気力や、一般相対性理論のより複雑なケースにおける場のエネルギーに起因する重力など、さまざまな場の間の相互作用も考慮に入れる必要がある。

しかしネイマン准教授は、場との相互作用を完全に考慮した本格的な量子重力理論を、ツイスター言語を用いて一般相対性理論より簡単に表現することはできるという。ネイマン准教授の論文のモデルは、1980年代と90年代にロシアの物理学者、ミカエル・ヴァシリエフによって提唱された高次スピン重力モデルに基づいている。高次スピン重力モデルは弦理論の姉妹版のように考えられているが、ホログラフィーとツイスター理論との橋渡しには最適なのだという。

2001年にイゴール・クレバノフとアレクサンダー・ポリアコフは、弦理論と同様に高次スピン重力モデルをホログラフィーで記述できることを発見した。ネイマン准教授の論文は、これら過去の研究をもとにホログラフィーとツイスター理論とを結びつけるものであり、「このテーマのカギとなる根本の数学はすべて平方根なのです」と説明する。

実際、電子やクォークのようなすべての素粒子の固有の形やツイスターは、空間の通常方向における平方根で表される。空間と無限遠における境界、ツイスター空間を結びつけるネイマン准教授の手法は、いわばある種の平方根を求める作業であるといえる。ネイマン准教授は、自身による概念の実証が、無限遠における境界に頼らずとも量子重力論に向かう道を切り開くことができると期待しているという。

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