3Dプリントを「4D」に進化させるスマートインクを開発

米ダートマス大学の研究チームは、3Dプリント後に造形物のサイズが変えられるスマートインクを開発した。一般的な3Dプリントと異なり、造形後に加熱などの処理を加えることで形状が変化する素材を使い、時間経過後に目的の形状や性質を得るものだ。三次元の造形物に時間という次元を加えるという意味で、「4Dプリント」とも呼ばれている。

今回開発したスマートインクは、ポリマーベースにインテリジェント分子システムを融合させた3Dプリント用樹脂だ。超分子構造を備えるこのスマートインクで3Dプリントした造形物は、造形直後の体積の1%まで縮小でき、事実上の解像度を10倍に高めることができるという。実験報告では、解像度300ミクロンの造形物を加熱して縮小後、30ミクロンの解像度を実現したことが確認されている。この造形物の収縮は超分子ピラー構造によるもので、縮小と膨張を可逆的に繰り返すことも可能だとしている。

同大学化学科のChenfeng Ke助教授は、「一般的な3Dプリントでは主に寸法形状の再現が中心だが、スマートインクは造形後に素材の分子物性を反映させるものだ」とし、「10万ドルの3Dプリンターが必要な造形結果を、スマートインクを使えば1000ドルのプリンターで実現することができる。」と、そのメリットを説明する。

スマートインク実用化にはまだ解決すべき課題が多いが、研究チームは超分子ベースの3Dプリンティング素材の開発に道を開くものだと考えている。

関連リンク

Smart Ink Adds New Dimensions to 3D Printing

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