グラフェンを活用して、玉虫色に発光するフォトニック結晶を開発――次世代型スマートセンサーに応用可能

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次世代のスマートセンサーの基礎となる、玉虫色を発光するオパールのようなフォトニック結晶が開発された。

イギリスのサリー大学とサセックス大学の共同研究チームが、高分子コロイド集合体に少量のグラフェンを分散させることにより、機械的または熱的刺激に敏感に応答して、発光色を変化させるフォトニック結晶を開発した。あたかも蝶や孔雀の羽根のように玉虫色や虹色に発光するオパールのような材料であり、次世代スマートセンサーの基礎技術として広汎な用途への応用が期待される。研究成果が、2020年5月19日の『Advanced Functional Materials』誌に公開されている。

1nm~1μmのナノサイズコロイド粒子が周期的に配列したコロイド結晶は、可視光領域の波長と同程度の周期配列を有する場合、選択的に光線のブラッグ反射を起こすことから、特異な光学的効果を備えたフォトニック結晶となる。天然のオパールも、ケイ酸を主成分としサブミクロンサイズの粒径を持つ球状微粒子が、三次元的に整然と配列した構造を持っており、光を当てる方向や見る方向によって玉虫色に変化するフォトニック効果を発現している。

今回研究チームは、コロイド溶液の蒸発プロセスにおける自己整列化作用を活用して、メタクリル酸メチル(MMA)やアクリル酸ブチル(BA)などの共重合体粒子から構成され、同時に少量のグラフェン薄片が分散したフォトニックコロイド結晶を作成することに成功した。グラフェンを可視光の波長と同レベルの間隔で微細に分散させることで、コロイド結晶のフォトニック効果が強化されている。この高分子ベースのフォトニック結晶は、ソフトで柔軟であるが機械的に頑丈であり、自然光のもとでは濃い緑色を示すが、引張負荷されると青色に変化し、また加熱されると透明になるといった、興味深い光学的効果を示す。

開発したフォトニック結晶は、外部からの機械的または熱的刺激に対する応答出力を、色の変化として直接裸眼で観察できることから、日常的にも広範囲に活用できる有望なセンサーとして期待される。例えば、傷みやすい食品のスマート包装として、不適切な温度履歴を受けた場合に、目に見える色の変化で知らせることができる。また、結晶に指で圧力を負荷すると、指紋を高精度で再現できるため、生体認証や偽造防止用の指紋解析などにも活用できる。更には、呼吸器ウィルスに対する医療現場における検査機器用バイオセンサーや、アスリートのバイオ健康モニターなどに展開できると、研究チームは語る。

現在、サセックスのAdvanced Materials Development(AMD)が、大学と共同して、スマートセンサーへの実用化を実施している。「この人工オパールには汎用性があるとともに、簡便で安価、スケールアップ可能なフォトニック結晶として、画期的な応用が近い将来期待できる」と、AMDは説明している。

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