オウムは他の鳥より賢い――その知能の秘密を神経科学者が解明

オウムやカラスは賢い鳥で4~5歳児並の知能を持ち、道具を使ったり、自分の姿を認識できたりするといわれているが、カナダ・アルバータ大学の神経科学者達は、この知能に関係する神経回路を特定した。

霊長類においては、知能に重要な役割を果たす脳の領域のひとつに「橋核(pontine nuclei)」があり、大脳皮質と小脳の間で情報を伝達する働きがある。大脳皮質と小脳の間の情報のループは、複雑な行動の計画や実行にとって重要なものだとされるが、ヒトや霊長類の橋核が他の動物のそれに比較して大きいのは、これを合理的に説明している。

一方で鳥類の橋核は極めて小さいながら、その代わりに同様の接続性を有する「内側ラセン核(SpM)」と呼ばれる構造を有している。脳の別の部分に位置するSpMは橋核と同様に大脳皮質と小脳の間で情報を循環させている。

今回研究チームは、ニワトリや水鳥を含む98種類の鳥、オオカミなどの脳と、オウム、フクロウの脳を比較研究したところ、オウムの脳はSpMが他の鳥類に比べはるかに大きく発達した「鳥らしくない」脳であると結論付けた。オウムのSpMは、ニワトリなどに比較して2~5倍も大きいという。

心理学部の博士研究員、Cristian Gutierrez-Ibanez氏によれば、これは、オウムと霊長類の間の収斂進化(convergent evolution)のすばらしい例だという。収斂進化とは、生物進化の過程で、異なる種類の生物の形質が次第に似てくることをいう。

Gutierrez-Ibanez氏は、「霊長類とは別に、オウムは大脳皮質と小脳を繋ぐ領域を進化させた。道具を使う、自分の姿を認識するなどの高度な挙動をはじめとする脳の収斂が見られるだろう。脳を調べれば調べるほど、より多くの類似点が見つかる。」と、研究に意欲を見せている。

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