非単結晶光触媒で水素生成エネルギー変換効率12.5%を達成 NEDOなど

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今回開発したCIGSをベースとした水素生成光触媒(約5cm角)

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2018年8月27日、人工光合成化学プロセス技術研究組合および東京大学と共同で、非単結晶光触媒で水素生成エネルギー変換効率12.5%を達成したと発表した。NEDOによると、非単結晶光触媒では世界最高の水素生成エネルギー変換効率だという。

NEDOでは、従来より環境に優しいモノづくりの実現のため、太陽光のエネルギーで水から生成した水素と工場などから排出されるCO2を合成して、プラスチック原料などの基幹化学品製造プロセスを実現するための基盤技術開発に取り組んでいる。太陽光は光触媒を活用することでエネルギー源として活用できる。このため、光触媒のエネルギー変換効率の向上が課題だった。

太陽光の強度のピークは主に可視領域にあるが、従来の光触媒は主に紫外光領域が吸収波長となっているものが多い。これが、効率良く太陽光エネルギーを利用できない要因の1つになっていた。

今回の研究では、従来より太陽電池材料として利用されており、赤外領域までの長波長の太陽光を利用できるカルコゲナイド系材料、Cu(In1-x,Gax)Se2(CIGS)を用いて、さまざまな工夫を施すことで高いエネルギー変換効率を実現した。

CIGSでは表面にn型半導体を成膜することで、光照射によってCIGS個体内で生成した電子と正孔を効率的に分離。再結合を抑制することで、高い量子効率を得られることが知られている。しかし、高負荷条件ではCIGSとn型半導体間の障壁により電子が注入されにくくなる。その結果効率が著しく低下していたが、今回新規組成のCIGSを開発することで、この問題を解消し高水準の水素生成エネルギー変換効率を実現した。

また、大電流密度で水分解反応を進行すると、液相側の電気抵抗などの効率低下が現れる。今回電解液成分の最適化などによって、効率的に水素が得られるようになった。

今回開発したCIGSを用いて疑似太陽光照射下における水の全分解反応を検討した結果、太陽光エネルギー変換効率は、従来より23%増の3.7%を達成した。

NEDOでは今後、水素生成光触媒とともに水素を効率的に生成するために必要な酸素生成光触媒の高性能化を実現し、両者を組み合わせることで、2021年度末を目標としている太陽光エネルギー変換効率10%達成を目指す。

水素生成光触媒と酸素生成光触媒とからなる2段型セル(タンデム配置)の模式図

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