東大、芳香環水素化反応のための新たな触媒による連続フロー合成法を開発――水素の貯蔵や運搬、医薬品合成などに貢献

連続フロー法による芳香環水素化反応の模式図

東京大学は2018年8月29日、水素の貯蔵/輸送やファインケミカルズ(精密化学品)の製造に応用できる芳香環水素化反応のための新たな触媒を開発し、またその反応を効率的に行える連続フロー法を開発したと発表した。

ベンゼンなどの芳香環類の水素化反応は、水素社会実現に向けた水素貯蔵/輸送に応用でき、また医薬品および生理活性物質などの機能性分子の合成でも活用が期待されている。

今回、東京大学の研究グループは、安価な有機―無機ハイブリッド担体を用いた、不均一ロジウム-白金二元金属ナノ粒子触媒を開発し、芳香環類の水素化反応に適用した。この触媒をまずバッチ法(出発原料等をフラスコや反応釜に入れて反応させ、反応後にまとめて排出させる手法)で用いたところ、非常に穏やかな条件下で芳香環水素化反応に対して高い活性を示した。

さらに、近年ファインケミカルズの合成に用いられている、連続的に目的物を供給できる連続フロー法で使用したところ、従来のバッチ法よりもはるかに高い触媒性能を示し、最大で27倍の触媒回転数で効率的に反応が進行することが明らかとなった。また50日間連続運転、触媒回転数30万以上に耐える強い耐久性が実証された。

加えて、水素化されうる複数の官能基を持つ複雑な化合物に対しても、選択的に望みの官能基のみ還元できることを見出し、実際に医薬品原体の合成も行った。これらの成果は、高効率的な有用物質供給に新たな手法を提供できるものだという。

選択的芳香環水素化反応の例と医薬品合成への応用

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