電子スピンで情報を伝達――酸化鉄を使って情報を超高速で伝達するマグノンスピントロニクス

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コンピューターシステムにおいて、電流から生じる熱(ジュール熱)は極めて大きな問題だが、独マインツ大学は、錆の主成分である反強磁性酸化鉄が、この問題を解決するための有望な材料であることを明らかにした。

電子機器の発熱は、高速化や小型化の阻害要因になっている。電子回路で発生するジュール熱は、電子が導体の中を流れるときに阻害・散乱されることにより発生するが、電流を通さない絶縁体の中を電子スピンを電子から電子へ伝える「スピン流」を用いて信号を伝搬することで、ジュール熱の発生を抑えることができる。マグノンスピントロニクスとは、磁性体中にスピン波(マグノン)を発生させ、信号を伝搬しようとする研究分野だ。

マインツ大学はマグノンスピントロニクス研究の一環として、ユトレヒト大学、ノルウェー科学技術大学量子スピントロニクスセンターと共同で、錆の主成分である反強磁性の酸化鉄が、少ない発熱量で情報を高速で伝送できる安価で有望な材料であることを証明した。研究成果は『Nature』誌に掲載されている。

研究では、絶縁性酸化鉄の上にプラチナ線を配し、プラチナからのエネルギーを酸化鉄に伝えることによりマグノンを生成したところ、情報伝達手段として利用しうることが判明した。また、反強磁性体は、鉄やニッケルベースの磁性体と比較してより安定しており、データ記憶装置のための重要な要件である外部磁場の影響も受けないという特徴がある。

マインツ大学物理学研究所のRomain Lebrun博士は、「この研究で、現在使われているコンポーネントを反強磁性体で置き換えらることが明らかにされた。反強磁性絶縁体に基づくデバイスも夢ではない」と述べている。将来的にはマグノンを利用したテラヘルツ級の高速デバイス開発の可能性もある。

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