鉛フリーで環境に優しい屋内用太陽電池を開発――部屋の明かりでスマホを充電

インペリアルカレッジロンドン大学を中心とした研究チームは、室内光でウェアラブルデバイスを駆動するのに十分な起電力を持ち、環境に優しい太陽電池材料を発見したと発表した。研究結果は、2020年11月3日付けの『Advanced Energy Materials』に掲載されている。

ビッグデータの活用やIoTの普及に伴い、スマートセンサーなど主に屋内での利用を想定したデバイスの開発が進む中、交換不要で屋内光で効率的に発電できるバッテリーにも注目が集まっている。一般に、室内光源の強度は太陽光よりも弱く、家庭や商業ビルで使われる蛍光灯や白色LEDの照度は200~1000lx(ルクス)で、波長範囲は主に可視光域のため、太陽光を利用する従来のシリコンベースの太陽電池は、室内用途には適していない。

そこで現在、室内光発電材料として検討されているのが、水素化アモルファスシリコン、色素増感太陽電池、ハロゲン化鉛ペロブスカイト、および有機半導体だ。中でもハロゲン化鉛ペロブスカイトは、低コストで高い電力変換効率を示すことから有望視される一方、鉛(Pb)による環境への影響が懸念されている。

今回研究チームは、ハロゲン化鉛ペロブスカイト材料から着想を得つつ、鉛よりも環境に優しいビスマス(Bi)またはアンチモン(Sb)をベースとした2種類の光発電材料を開発した。これらのバンドギャップは約1.9eVで、太陽光よりも室内光の吸収に適している。「我々は、スマートデバイスに持続的に電力を供給するための環境に優しく、作りやすい材料を見つけるという課題に対して、まったく新しい方向性を発見した」と、研究チームを率いる中国蘇州大学のVincenzo Pecunia教授は語る。

今回開発した材料は、蛍光灯や白色LEDを使った実験において、4~5%の電力変換効率を達成している。現在、室内光発電として利用されている水素化アモルファスシリコンの変換効率が4.4~9.2%と言われているため、これら2種類の材料は今回研究チームが開発した材料は業界標準を満たしており、電子デバイスへ適応するのに十分な値と言えるだろう。

さらに、プラスチックやファブリックなどの基材上に加工できる可能性もある。また、研究チームによれば、いくつかの改善点も判明しているということで、近い将来に現在の屋内用光発電をしのぐ技術とになると見込んでいる。ウェアラブルデバイスやヘルスケアモニター、スマートホーム、スマートシティへの適用が期待される。

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New green materials could power smart devices using ambient light

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