製造業が求めるIT系エンジニア――生産技術とのマッチングで広がる活躍の場[“完全”自動化の時代へ]


~ 工場自動化(FA)の最新事情をエンジニアリングの分野別に考える ~

本記事は、エンジニア専門の人材紹介会社メイテックネクストのキャリアコンサルタント筧 隆志氏への取材を通じて、工場自動化(FA:ファクトリーオートメーション)の最新事情をお伝えしていく連載記事です。

4回目となる今回は、工場自動化という視点から、製造業が求めるIT系エンジニアについて、お話ししたいと思います。(執筆:中嶋嘉祐)


必要とされるのは、ユーザーの要求に基づいた課題解決力

――インダストリー4.0が掲げるところの“完全”工場自動化では、いわゆるIT技術による生産工程の革新が必要になると言われています。そうした点からみて、IT系エンジニアと生産技術のマッチングというのはいかがでしょうか。

[メイテックネクスト 筧氏]前回お話ししたことですが、工場自動化という視点では、電気・制御系エンジニアには、システム全体を構築できるような、幅広い技術が求められます。そこで、IT系エンジニアの強みを挙げると、特に運用フェーズでの課題解決を理解しているというところがあると思います。

例えば、私たちが普段使っている業務システムが停止してしまうと、仕事になりませんよね。IT系エンジニアの強みとして、ユーザーの要求に基づいた課題解決を考え、システムを修正・改善するようなところをやっている部分。これが工場自動化を進める上で、必要とされるようになる領域です。

今の生産工場には、例えばチェックリストを手書きで記入していたりとか、今後IT系のアプリケーションに落とし込んでいくことが必要な領域の業務が多くあります。私たちの事務仕事がどんどんOA化してきたように、今後工場も変わっていくでしょうから、そこにIT系エンジニアを求めるニーズが強くあるはずだと考えています。

――IT系エンジニアは、基幹システムや業務アプリケーションといった部分の開発が中心で、人材もまだまだ足りていないと思います。

将来的に、ニーズは変わっていくとみています。これまで企業ごとに自社のニーズに合わせた基幹システムの開発をするケースが多かったと思いますが、いまは各社のニーズの最適解を満たすようなパッケージやクラウドシステムなどが登場しつつあります。

たしかに現状では、全体としてIT関連のエンジニアが足りていないという状況はありますが、今後は基幹システムや業務アプリケーション開発という領域から、工場自動化に関連したIoT開発という視点で、転職先としてメーカーを選択することも増えるとみています。IT系エンジニアとして基幹システムの保守開発をやるよりも、メーカーで製造に携わる仕事というのも、これからは良い選択肢といえるのではないでしょうか。

今後は生産技術IT系というカテゴリーが登場する

――IT系エンジニアの視点から、システムインテグレーター(SIer)とメーカーでどのような違いがあるのでしょうか?

メーカーに行くというシナリオであれば、プロジェクトの全体を見ながら自分でコントロールできるという点が大きな違いでしょう。ただ、採用規模的にはSIerは数百人のプログラマーが働いていますが、メーカーにいるIT系エンジニアというのは、多くはありません。多くても1社あたり数人、数十人くらいの少数精鋭のチームだと思います。

――今後、メーカーとIT系エンジニアの需要のマッチングはどのようになるとみていますか?

今の時点で、メーカーの生産技術が求めているのは、電気系、機械系、そしてソフトウェア系ということになりますが、今後は生産技術IT系というカテゴリーが間違いなく出てくると思います。

――なるほど。では、IT系エンジニアとして求められているスキルはどのようなものになりますか?越えなければならないハードルのようなものはあるのでしょうか?

いわゆるSEと呼ばれる職種は、普段から課題解決をタスクとしていますから、すぐにでも製造業で活躍できるはずです。メーカーでやってみたい、人や物ともっと関わりながら今の知識を生かしていきたい、という思いがあれば、ハードルはないと私は思います。

次回は、電気・制御系エンジニアを求める自動化マーケットの将来動向について、お話ししたいと思います。



筧 隆志(メイテックネクスト 電気・電子・半導体分野 コンサルタント)

<メッセージ>
電気設計エンジニアの視点とグローバルな視点から、皆様と企業との最適なマッチングを実現したいと考えています。
短期的にだけでなく、長期的にも良かったと思えるような転職をして頂けるように、精一杯支援致します。


取材協力先

メイテックネクスト
メイテックネクスト分野別コンサルタント

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