ユニチカは2017年12月13日、超フレキシブル化が可能な有機ELディスプレイ用ポリイミド(PI)ワニスを開発したと発表した。熱硬化を速くすることができ、PI薄膜形成の生産性を向上できる。
耐熱性と寸法安定性に優れたPI薄膜は、有機ELディスプレイ用のフレキシブル基板として利用する方法が実用化段階に達している。この方法は、PIワニスをガラス基板上に塗工、乾燥、熱硬化させることで、ガラス基板上にPI薄膜を積層一体化。このPI薄膜の表面にLED素子を形成後、最後にPI薄膜をガラス基板から剥離することにより、フレキシブル基板とするものだ。
しかし従来のPIワニスでは、熱硬化時に気泡の発生や塗膜のハガレを避けるために、熱硬化を3〜5時間かけて行う必要があることから生産性が低いという問題があった。その解決のため、PIワニスに大量の添加剤を配合して薄膜をガラス基板に強固に密着させるという方法等があるが、剥がれや気泡を抑制できる反面、剥離が困難になったり、膜強度等の力学的特性が悪化したりするという問題がある。また、PI薄膜を薄膜化するほど、フレキシブル基板の最終工程での剥離が困難になるという問題もあった。
今回ユニチカが開発したPIワニスは、PIの精密設計技術とワニス化のための配合技術により、ガラス基板と強固に密着し、かつ剥離されやすいという、相反する特性を実現したもの。熱硬化を速くしても基材からのハガレや気泡発生が起こりにくく、従来の3分の1から4分の1という短時間で高品位のPI薄膜を形成でき、生産性が向上する。また、超フレキシブル化が可能な20μmという厚みにしても、PI薄膜の良好な剥離性を確保することができる。
今回開発したPIワニスに関する関連特許は、約10件出願済み。すでに海外顧客向けに採用が決定し、間もなく実生産用ワニスの出荷が始まるという。今後、さらにパネルメーカー向けに展開を進めるとしている。