原子レベルに薄い遷移金属ダイカルコゲナイド、コンピューターの速度を数百万倍に高める可能性

遷移金属ダイカルコゲナイド(TMDC)は、数百万倍の速度でコンピューターを稼働させ、情報を100万倍もエネルギー効率良く保存できる可能性のある光学的性能を持つ、という研究結果がジョージア州立大学から発表されている。

TMDCは、グラフェンに代表される2D材料の一種。二硫化モリブデン(MOS2)などの遷移金属原子の層を二セレン化タングステン(WSe2)などのカルコゲン原子の2つの層でサンドイッチにした化合物で、六方格子構造をしている。このTMDCの六方構造が、より効率的な情報記憶を可能にするという。

この研究では、研究者達は超高速化を可能にするTMDCの光学的性質を明らかにした。TMDCの六方格子構造では、いくつかの電子は六角形上のそれらの位置に依存して左周りに回転、他のものは右に回転する。この運動がトポロジカル共鳴と呼ばれる新しい効果を引き起し、それが数フェムト秒(10の15乗分の1秒)の間に情報の読取り、書込みまたは処理を可能にする。

この研究成果によれば、現在のコンピューターは数ナノ(10の9乗分の1)秒の時間スケールで動作するが、原子レベルに薄い半導体であるTMDCでコンピューターを作れば、100万倍高速のフェムト秒の時間スケールで動作することを示唆しているという。

研究論文は、『Physical Review B』誌に掲載されている。論文の筆頭著者で、ナノオプティクスセンター所長のMark Stockman博士は、「光より速いものはない。超高速コンピューターを作る唯一の方法は、エレクトロニクスに代わり、オプティクスを用いることだ」と述べている。

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Transition Metal Dichalcogenides Could Increase Computer Speed, Memory

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