リチウムイオン電池負極の性能を向上させるナノ構造体の特定に成功――シリコンアノードを改良 沖縄科学技術大学院大学

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沖縄科学技術大学院大学は2021年2月5日、リチウムイオン電池の負極(アノード)の性能を向上させるシリコンナノ構造体を特定したと発表した。

リチウムイオン電池は電力が強く持ち運びや充電が可能なことなどから、さまざまな産業分野ですでに利用されている。リチウムイオン電池のアノードにはこれまでグラファイトが使用されてきた。しかし炭素材であるグラファイトには、1つのリチウムイオンを蓄えるために6つの炭素原子が必要なため、電池のエネルギー密度が低くなってしまうという欠点がある。また、リチウムイオンがアノードに移動した際に体積が最大約4倍にまで膨張することで電極が破損する恐れがあったり、体積変化が大きいために電解質とアノード間の保護層が絶えず変形し、それが原因で電池寿命や再充電能力が低下したりするという問題もあった。

これらの課題を克服するために、同大学では原子1個につき4つのリチウムイオンを結合させることができるシリコンに着目。シリコンアノードは体積に対する蓄電容量がグラファイトアノードの10倍、エネルギー密度ではそれ以上の高い特性を示す。しかしシリコンは割れやすいという欠点があった。

同大学では以前、シリコンの層をタンタル金属ナノ粒子で挟むように交互に堆積させたケーキのような層状構造を開発。これによりシリコンアノードの過剰膨張を防ぐことができることを発見していた。同構造においてシリコン層の厚さを変化させていく際に、一定の厚さに達すると構造体の弾性が変化して剛性が増し、さらに厚さが増えると今度は逆に剛性が急激に低下することに気づいてはいたが、その要因が特定できなかった。

今回の研究では、顕微鏡技術の使用と原子レベルでのコンピューターシミュレーションを用いることでシリコン原子がナノ粒子の層に堆積する際に、倒立型円錐形の柱を形成し、さらに堆積していくと柱の幅が増えて最終的にシリコンの柱同士が接触してアーチ構造を形成することを発見。このアーチ構造によって強度が増し、保護層の安定性が増すことでより多くの充電サイクルに耐え得ることが分かった。しかも充電容量が増加するなどの性能向上も見られた。このような特性は、シリコンの柱同士がちょうど接触する時点の大きさで、倒立円錐形構造を示す時点のみに現れることも分かっている。

今回の発見は、シリコンアノードを使用したリチウムイオン電池の商業化に向けた一歩となり、さらに材料科学分野において、広く応用される可能性があるという。

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