大阪大学など、有機半導体の高性能化につながる含フッ素アクセプターユニットを開発

大阪大学は2018年10月17日、石原産業や独マックスプランク高分子研究所と共同で、フッ素原子を導入した新たなアクセプターユニットの開発に成功したと発表した。

アクセプターユニットは、高性能の有機半導体材料を開発するため、分子構造の中に組み込まれるようになっている。強力なアクセプターユニットとしてナフトビスチアジアゾール(NTz)が広く用いられているが、NTzのアクセプター性をさらに向上させようと、電気陰性のフッ素原子を導入するための研究が進められてきた。

これまで、有機合成の困難さからフッ素原子の導入に成功できていなかったが、大阪大学などがつくる研究チームは、新規な有機合成ルートを確立。フッ素原子を含むナフトビスチアジアゾール(FNTz)の合成に初めて成功した。

実際に、合成したFNTzを組み込んだ有機分子を、有機薄膜型太陽電池のn型半導体材料として採用したところ、フッ素を含まない材料と比べて、性能が大幅に向上することを確認できた。

今回開発したFNTzのアクセプターユニットを導入することで、さまざまな用途の有機半導体材料においても性能向上が期待できる。特に、NTzが有効に機能する実績がある有機薄膜太陽電池のp型半導体ポリマーに向けた応用が有望だという。

さらに今回、新規な合成ルートを構築できたことで、フッ素化された鍵中間体も得ることができた。この中間体からさまざまなフッ素化アクセプターユニットが系統的に開発できるため、アクセプターユニットのレパートリーを拡充できる見通しだ。

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