矢野経済研究所は2018年12月19日、国内外の協働ロボット市場を調査し、セグメント別の動向、参入企業動向、将来展望を報告した。
協働ロボットは、国際規格ISO 10218-1に適合した産業用ロボットで、適切に使用することで安全柵などで囲うことなく、人のすぐそばで働くことができる。このため、スペースのなかった製造工場をはじめ、飲食店や大学、企業などの研究施設など様々な用途で活用され始めているという。
その世界市場規模はメーカー出荷金額ベースで、2015年の180億円から2016年の360億円、2017年には650億円とここ数年で増加。この背景には、省スペースでの導入が可能であることや、製品の変更にも対応しやすくなったことがあるという。さらには、人材不足を補完する目的で導入が進んだことが大きいとしている。
注目トピックには、外食産業を中心に新しい領域で展開が進んでいる点を挙げている。ロボットを活用した調理サービスもその1つで、人手不足などを背景に、一部の飲食店では調理をおこなう協働ロボットが運用され始めていると報告。今後も、外食産業を中心に、新領域における活用が期待されるという。
将来展望としては、協働ロボットの世界市場規模は、2020年までは自動車業界やエレクトロニクス業界など産業用ロボットが多用されてきた工業分野を中心に、前年比150%前後で成長していくと予測。しかし2021年~2022年にかけては、従来の工業分野での需要が一服することや、廉価な製品による低価格化が想定されるため、成長率は鈍化するとみている。
その後は、これまで産業用ロボットがあまり活用されてこなかった食品/化粧品/医薬品などの新工業分野やサービス産業など、工業以外の新領域での利用拡大が期待されるという。そのため、2024年の世界市場規模はメーカー出荷金額ベースで、8500億円に達すると予測している。