電子回路を着る――グラフェンパターンをコーティングした「スマート繊維」

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グラフェンをPP繊維にコーティングした「スマート繊維」による発光デバイス

イギリスのエクセター大学を中心とした国際研究チームが、繊維産業で一般的に使用されているポリプロピレン(PP)繊維に、グラフェンをコーティングする技術を考案した。この「スマート繊維」を布地に織り込むことで、軽量かつ柔軟で耐久性のあるウェアラブル電子機器を開発することができると期待される。研究成果は、2018年9月25日の科学雑誌『Flexible Electronics』誌に公開されている。

一般的なウェアラブル電子機器は、布地に電子デバイスを接着しただけものが多く、しばしば柔軟性に欠けるとともに、誤動作しやすいという課題がある。エクセター大学およびポルトガルのアヴェイロ大学とリスボン大学、ベルギーのテキスタイル研究所(CenTexBel)の専門家による国際研究チームは、繊維そのものにデバイスをコーティングすることで「スマート繊維」とし、それを布地に織り込んだウェアラブルデバイスの制作を試みた。

導電材として、単原子層から成り、導電性と柔軟性および高い強度を持つグラフェンを用い、コーティングすべき繊維としては、繊維産業で一般的に使用されている、0.03mm厚さで2.4mm幅のPP繊維を用いた。

研究チームは、リソグラフィーとCVD技術により、PP繊維の上にグラフェンの微細な回路パターンをコーティング。その結果、電極やワイヤを別個に付け加えることなく、容量型タッチセンサおよび発光デバイスを内蔵したスマート繊維を作り出すことに成功した。

発光デバイスでは、ZnS:Cu層とBaTiO3層がスピンコーティングにより積層されている。開発したプロセスの大きな特徴は、いずれもロール・ツー・ロール方式に展開できることであり、安価に大量生産できる可能性がある。

研究チームを指導するエクセター大学工学部のMonica Craciun教授は、「真にウェアラブルな電子機器は、単に電子デバイスを固定するものではなく、繊維に組み込むことこそが重要」と語る。この研究は、多くの分野でスマート繊維を用いた、真のウェアラブル電子部品開発への道を切り拓いたと言えるだろう。研究チームは、心拍数や血圧測定、医療診断など健康管理だけでなく、広範な日常的な応用にも活用できると考えている。

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