- 2019-1-11
- 化学・素材系, 技術ニュース, 海外ニュース
- Morgan Barnes, Rafael Verduzco, Soft Matter, エラストマー, ソフトロボット, 米ライス大学
米ライス大学では、ディズニー映画の「フラバー」のように自由に形の変えられるソフトロボットや生医学向け材料の研究が行われている。
同学の化学および生体分子工学科の准教授で材料科学者のRafael Verduzco氏が開発した材料は、室温では複雑な立体形状をしているが、摂氏80度の遷移温度まで加熱すると形が崩れていき、平面の状態になる。熱を取り除けば再び元の立体形状に戻る。研究成果は、英国王立化学会の『Soft Matter』ジャーナルに掲載されている。
この材料は液晶をエラストマーに埋め込んだもので、低温時は液晶にプログラムされた形状が支配的となるが、熱を加えるとまるで氷が水に溶け込むかのように、液晶はゴムバンドのような強さと伸縮性をもつエラストマー中で軟化し、形状は解除される。Verduzco准教授によれば、形状をプログラムするのも容易で、材料を型に入れ形状を定め、紫外光を5分間照射して硬化させることで結晶秩序が決まる。公開された動画には、人の顔やバラの花などの形状が変化する様子が撮影されている。
研究の次の目標は遷移温度を下げることで、Verduzco准教授と共に開発に携わった大学院生のMorgan Barnes氏は、「体温で活性化させることができれば、多くの用途に使うことができ、例えば、触ると現れるスマートフォンボタンや、障害者向けの反応する点字などが可能になるでしょう」とし、「また、熱ではなく光に反応するようにできれば、必要な部分の液晶エラストマーのみ制御することが可能になり、ソフトロボットへの応用も進むでしょう」と、今後の展望を語っている。