どうすればストックオプションでより儲けられる? 性別、役職、年次か月次かで差が付くと判明

企業が役員や従業員に与える報酬のひとつにストックオプションがある。会社の業績向上に貢献する意識を高める効果があることからアメリカなどで広まっているが、日本でも1997年の商法改正によって導入が可能になり、ヤフーや楽天はじめ、相当数のベンチャー企業などもストックオプション制度を導入している。

オプションを保有している従業員にとっては、いつ売却すればより利益が得られるのか気になるところだ。米カリフォルニア大学バークレー校ハースビジネススクールの研究によれば、女性や上級管理職の方が男性や一般社員よりも多くの利益を得ているのだが、その理由は前者の方が長期にわたってストックオプションを保有する傾向があるからだという。

ハースビジネススクールの研究者らは実際の従業員の行動を考慮に入れ、実用的なストックオプションの評価方法を提案・分析した。具体的には、1981~2009年の期間を対象に、上場企業88社に所属する約29万人の従業員が保有するストックオプションの全ての履歴を含む独自のデータセットを分析した。そのうち27社はアメリカの代表的な株価指数であるS&P 500に組み入れられている。

分析の結果、女性や上級管理職はオプションの権利行使までの時間が長く、女性は男性に比べて2~4%、上級管理職は一般社員に比べて2~7%多く利益を得ていることが分かった。研究者らはこの違いについて、男性の方が金銭的な決定に自信を持ち、一般社員の方が住宅の改修や休暇のための資金を必要とするからだと考えている。

また、権利確定の頻度によっても利益に違いが生じることが明らかになった。権利行使日が月次ではなく年次でやってくる方が、得られる利益が16%も高かった。これについて研究者らは、月次の方が権利確定の機会が頻繁にあるのはもちろんのこと、権利確定したときにメールなどで通知を受けることで、心理的に権利行使をしたくなるためと分析した。

今回の研究成果は2018年12月16日付の『Journal of Finance』に掲載されている。これはあくまでもアメリカ国内の調査結果だが、「ストックオプションは満期近くまで保有しているほうが有利」という考えもあるということだ。

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Stock options worth more for women, senior managers, study finds

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