ジェイテクトは2019年2月26日、同社のボールスプライン付推進軸が四国旅客鉄道(JR四国)の2700系特急形気動車に採用されたと発表した。同製品は同社独自のボールスプライン構造により、車両の安定走行を補助する。
2700系はJR四国が予讃線、土讃線、高徳線で使用している2000系特急形気動車の老朽化に伴い、新しく投入された特急形気動車だ。2000系と同様に制御付振子システムとジェイテクトのボールスプライン付推進軸が採用された。
制御付振子システムはカーブによる遠心力を緩和する方向に車体を空気シリンダで傾斜させる機構だ。これにより、山間部などのカーブが多い区間での最高運転速度アップと乗り心地を両立できる。 同システム採用により、2700系の車両最高運転速度は130km/hを達成している。
一方、ジェイテクトのボールスプライン付推進軸には一般的なスプラインとは異なり、雄スプラインと雌スプラインの間に複数列のボールが配置されている。制御付振子システムが作動すると推進軸が伸縮し、一般的なスプラインでは雄スプラインと雌スプラインの間にすべりが生じるため、スプライン部のスライド抵抗が大きくスムーズな振子作用の妨げになる。しかし、ボールスプラインではボールの転がりによりスライド抵抗を大幅に低減している。このため、振子作用を妨げることなく車両の性能を十分発揮できる。
ジェイテクトは同製品の量産を今年中に開始する予定で、年間売上2000万円を目指すという。