深い睡眠に脳のデトックス効果があると判明――眠りが浅いとアルツハイマーのリスク上昇か

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ロチェスター大学の研究者たちが、「睡眠は深ければ深いほど良い」ことを実証した。発表によると、深い睡眠(ノンレム睡眠)の時に脳からの老廃物の排出が進むことがこのたびの研究で分かったという。研究結果は2019年2月27日付けの『Science Advances』に掲載されている。

ロチェスター大学メディカルセンターのMaiken Nedergaard氏らは2012年の研究で、脳が老廃物を排出する経路を発見し、それを「グリンパティック系(glymphatic system)」と名づけた。グリンパティック系とは、グリア細胞(glial cell)とリンパ系(lymphatic system)を掛け合せた造語である。

グリンパティック系は、グリア細胞が脳血管の周囲に形成した配管システムであり、脳以外でリンパ系が果たすのと同様の役割を脳内で果たす。脳組織に脳脊髄液(CSF)を浸透させ、アルツハイマー病の原因となる有害なタンパク質(アミロイドβとタウタンパク質)を排出するのだ。後の研究で、このシステムは主に睡眠中に機能することが判明していた。

今回の研究では、麻酔をかけたマウスの脳波と心拍数、CSFの流れを観察。それにより、深い眠りに落ちて脳波(デルタ波)が増加し、心拍数が減少しているとき、CSFの流量も増えていることを発見した。つまり、ノンレム睡眠時にグリンパティック系の活動が盛んになり、効率的に老廃物が除去されることを明らかにした。

加齢とともに深いノンレム睡眠がとれなくなることはすでに分かっている。従って、今回の研究成果は加齢とアルツハイマー病に深いつながりがあることを示す。ただし、睡眠の質を高めることでグリンパティック系を活性化できることも今回の研究で明らかとなった。よって本研究結果は、睡眠療法などの臨床治療がアルツハイマー病の予防につながる可能性も示唆する。

厚生労働省も『健康づくりのための睡眠指針2014』の中で、睡眠不足と質的な悪化はヒューマンエラーに基づく事故のほか、生活習慣病やこころの病につながるとして、睡眠の大切さを訴えている。仕事が忙しかったり、つい夜更かしをしたりすることもあるだろうが、脳に有害なタンパク質が蓄積すると、そのうちアルツハイマー病や認知症にも影響する可能性がある。やはり良い睡眠は確保したいものだ。

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