MITとNASA、飛行中に自律的に変形する翼「MADCAT」を開発

Image: Eli Gershenfeld, NASA Ames Research Center

MITとNASAの技術チームが、これまでにない新しいコンセプトを持つ航空機用の翼を開発した。マッチ棒ほどの細い枠組みで作った中空のモジュールを何百個も組み合わせた翼は、航空機の離陸・飛行・着陸に合わせて変形できるという。この新しい翼の設計についての詳細は2019年4月1日に『Smart Materials and Structures』でオンライン公開された。

NASAが「MADCAT:Mission Adaptive Digital Composite Aerostructure Technologies」プロジェクトと呼ぶこの翼は、細く丈夫なエラストマーの中空格子の骨格を持ち、表面はポリマーの薄い層で覆われている。そのため、非常に軽量でエネルギー効率が良い。

そしてこの翼は、自律的な形状変化、つまり翼が空力荷重の変化にリアルタイムで応答するようにデザインされている。翼に張り巡らされたセンサーが逐次気流のデータを処理し、翼の構造にフィードバックすることで、最も効率的な形状で飛行できるという。

NASAでの風洞実験に使用した翼は長さ4.27mで、一人用航空機ほどのサイズだ。今回は、手作業で組み立てたが、将来はロボットによる自動化も可能。要となる中空パーツも、射出成形を利用すれば1つ17秒で製造できるとし、量産も視野に入れられている。

MADCATプロジェクトの成果は、補償アルゴリズム、軽量素材、パーツの共通化により、航空機の設計や製造、組み立てに大きな自由度を与えるだけでなく、風力発電機や橋梁など様々な建築物への応用も期待されている。

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