蓄電池の電流密度分布をリアルタイムに非破壊で画像診断するシステムを開発――全数検査により安全性が向上 Integral Geometry Scienceと神戸大

蓄電池の電流密度分布の画像診断システム「FOCUS」

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2019年5月29日、Integral Geometry Scienceと神戸大学が共同で、蓄電地の電流密度分布をリアルタイムかつ非破壊で画像診断できるシステム「FOCUS」を開発したと発表した。このシステムにより、蓄電池の全数検査が確立されれば、蓄電池の安全性を向上させることができるという。

蓄電池はこれまで、良品として出荷したのにも関わらず、発火事故を引き起こすなどの課題があった。その原因の1つとしては、出荷時の蓄電池内部における電流密度の空間的な不均一さが充放電とともに増大し、短絡して発火することが考えられる。しかしこれまで、電流密度分布からの磁場分布の導出(順問題)は可能だったものの、磁場分布からの電流密度分布の導出(逆問題)は実現されていなかった。

正極負極間の距離が電池の電極サイズに比べて無限小であるとみなせることから、蓄電池内に流れる3次元的な電流は、薄い平行平板間に閉じ込められていると考えられる。今回の研究では、これを蓄電池における静磁場の基礎方程式に取り入れることで、この逆問題を解析的に解くことに成功した。さらには、磁気センサーを2次元に並べることで、リアルタイムに磁場の空間分布を測定する装置も開発。測定した磁場から逆問題の解析を行うことで、電流密度分布をリアルタイムかつ非破壊で映像化できる。

蓄電池内部の電流密度分布の画像診断

Integral Geometry Scienceは、この成果を基に、2年以内には蓄電池の全数検査が可能なインライン検査システムの販売を開始する予定だ。

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