サスティナブルな合成ガスの製造が可能な人工葉を開発

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英ケンブリッジ大学の研究チームは、植物の光合成のように、太陽光、水、二酸化炭素から燃料としても使える「合成ガス」を製造できる「人工葉(artificial leaf)」を開発した。ガソリンに代わるサスティナブルな液体燃料の製造につなげることができる。研究結果は、2019年10月21日付けの『Nature Materials』に掲載されている。

合成ガスとは、水素と一酸化炭素の混合ガスのことだ。合成ガスという言葉にはなじみがないかもしれないが、液体燃料をはじめ、プラスチックや肥料の製造に使われており、我々は毎日何らかの合成ガス由来の製品を利用している。通常、合成ガスは化石燃料から作られる。

その合成ガスを太陽光、水、二酸化酸素のみで製造しようとしたのが、Erwin Reisner教授率いる研究チームだ。今回、植物の光合成をヒントに、持続的な合成ガスの製造が可能な人工葉を開発した。従来の合成ガスの製造プロセスとは異なり、化石燃料を使用しないうえ、余分な二酸化炭素を大気中に放出しない。

研究チームが開発した人工葉は、触媒と2種類の光吸収体を組み合わせている。人工葉を水に沈めると、一方の光吸収体が触媒を利用して酸素を生成する。もう一方では、二酸化炭素と水がそれぞれ還元されて、一酸化炭素と水素が発生し、合成ガスができるというものだ。

鍵となったのは、コバルト触媒と、ペロブスカイト吸収体だ。コバルトは自然界に豊富に存在しているため手に入りやすい。それだけでなく、触媒材料として知られる白金や銀と比べて、効率よく一酸化炭素を発生させることができた。さらに、ペロブスカイト光吸収体から得られる高い光起電力と電流も、シリコンや色素増感材料から作られる光吸収体に比べ、二酸化炭素の還元を促進している。

その結果、この人工葉は雨や曇りの日といった日差しの少ない日でも、十分動作することが分かった。「夜明けから夕暮れまで、世界中どこでも使用できる」と、論文筆頭著者のVirgil Andrei氏は語る。

合成ガスは現在、ガソリンの代替となる液体燃料の製造に使用されている。研究チームは、液体燃料を効率的に、つまり二酸化炭素と水から1工程で製造する方法を模索している。「我々は、エタノールのようにすぐに燃料として使える製品を、サスティナブルに作り続けることを目標としている。太陽光と二酸化炭素の還元反応から1工程で液体燃料を作ることは難しい。しかし、我々は正しい方向に進み、正しい触媒を使っているという自信がある。近い将来、このプロセスを実証できるデバイスを作り出せると信じている」と、Andrei氏は語る。

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‘Artificial leaf’ successfully produces clean gas

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