レアアースフリーの強磁性窒化鉄を利用した新しいボンド磁石を発表東北大学ら

東北大学は2024年9月18日、同大学大学院工学研究科が三恵技研工業、Future Materialzと共同で、小型モーター向けの新しいボンド磁石を開発したと発表した。開発したボンド磁石を用いた小型モーターは、ネオジムボンド磁石と同等の特性を有する。

永久磁石を使用したモーターの効率は、ネオジムなどのレアアースを使った非常に強力な磁石によって向上する。近年、高効率な家電や電動車などの需要の増加に伴い、ネオジム磁石の使用が急増している。レアアースは供給リスクがあるため、レアアースの使用量削減やネオジムに偏らない資源利用が求められている。

開発した強磁性窒化鉄系ボンド磁石は、2つの異なる磁性成分である「レアアースを全く含まない強磁性窒化鉄」と「ネオジム採掘時の副産物であるサマリウム」を組み合わせて作られたことが最大の特長となる。

強磁性窒化鉄ボンド磁石を用いたモーター

強磁性窒化鉄は非常に強い磁力を持つ磁石成分で、サマリウム鉄窒素はレアアースであるネオジムを使用しない強力な磁石である。こうした異なる磁石成分を混ぜた場合、磁石としての特性が損なわれがちだが、独自の技術によりこれらを一体化し、あたかも単一の材料のように機能する磁石を作り出した。

レアアースを全く含まない強磁性窒化鉄を利用し、レアアースの使用量を抑えながら強力で効率的な磁石を提供できることに加え、複数の成分を組み合わせることで、磁石の特性を細かく調整できる。これにより、用途に応じた最適な性能を引き出せる。

今回開発した新しい永久磁石は、今後のモーター技術の進化を支える重要な技術となる。今後も三恵技研工業、Future Materialz、東北大学は共同で、磁石の性能をより強力かつ効率的にするための研究と、大量生産するための技術開発を進めるとしている。並行して、モーター製造メーカーと共同で、この磁石を使用した新しいモーター製品の開発も予定している。

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