完全自動化は非効率――人間とロボットで協力するとより効率が良いことが研究で判明

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現在、IoT(モノのインターネット)化の流れに伴い、サイバーフィジカルシステム(CPS)やインダストリー4.0といったコンセプトが重要視されている。そうした中、ロボットやAIを使って工程の完全自動化/自律化を推し進めさえすれば効率が高まると思われがちだ。しかし、必ずしもそうではないことをドイツのゲッティンゲン大学、デュースブルクエッセン大学、トリーア大学の共同研究チームが発表した。「完全自動化する未来では人間が職を失ってしまうのではないか」という懸念は、これで払拭されるかもしれない。研究結果は、2019年5月12日付けの『Advanced Manufacturing Technologies』に掲載されている。

この共同研究チームは、経営管理、コンピュータサイエンス、社会学などのさまざまな分野の研究者によって結成された。研究では、自動車やエンジニアリング産業で使う物品のピッキングやパッキングをしている物流会社を想定し、物流プロセスをAI搭載のモデルカーやデジタルツインなどを使ってシミュレーションした。具体的には、車両を使って部品を輸送するタスクを「人が運転するチーム」「ロボットチーム」「人間とロボットの混合チーム」の3つのチームに課し、輸送にかかった時間をそれぞれ計測した。

その結果、最も効率の良いチームは「人間とロボットの混合チーム」で、3チームの中で車両同士の衝突事故が最も少なかった。完全に自動化されたシステムが最も効率が良いと想定されることが多いため、この結果は予想を覆す形となった。

「自動化やデジタル化が関わる議論において効率について考えたとき、この研究成果は非常に重要な一筋の希望の光をもたらす」と論文の筆頭著者であるゲッティンゲン大学のMatthias Klumpp教授は語る。「つまり、人間とロボットが混合するチームが一番優位となるケースが、将来いくつも存在するという可能性を示している。少なくとも我々の知見からは、過度に失業の心配をする必要はないと言える」と続ける。

さらに研究チームは、人間と機械の相互作用を成功させるための要件について強調している。多くの企業やビジネスにおいて、意思決定をするのは人間であり続けるので、企業は自動化技術を導入するにあたり、従業員により注意を払うべきだと結論付けた。

関連リンク

Press release: Better together: human and robot co-workers

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