MIT、コロイドゲルのスケールに依存した挙動を解明――ソフトマテリアルの材料特性調整に有用な研究

マサチューセッツ工科大学(MIT)は、コロイドゲルをさまざまなスケールで詳しく調べ、スケールに依存する多様な挙動を発見したと発表した。この研究は、2020年2月27日、『Physical Review Letters』に掲載された。

コロイドゲルは、流体中に浮遊している粒子の混合物で、ハンドローションやヨーグルトから歯磨き粉まで、日常生活のいたるところにある物質だ。扱われ方によって、液体のように流動したり、固体のように形状を保持したりする。

一般的に、コロイドゲルの微細構造を調べるには、レーザー光を使い、複数の角度で散乱するような設定が必要で、さまざまなスケールで材料を撮影するためには解像度の数だけ実験試行が必要だった。そこでMITの研究チームは、十分な解像度を持つ普通の光学顕微鏡を使い、コンピューターコードを用いて、規定のピクセル長で画像を分析する手法(differential dynamic microscopy, DDM)を開発した。これにより、数ピクセル内での動きから数百ピクセル、そして画面全体にわたるまで、すべてのスケールにおける材料のダイナミクスを「一発で」記録できる。

今回の研究ではこのDDMを用いて、簡単に制御できるコロイドゲルを設計して観察した。さまざまな濃度でポリスチレン粒子を水と混ぜたサンプルを熱電プレート上に置き、温度を上げ、サンプルがコロイドゲルに変化し、乳白色の液体からより濃いヨーグルトのような粘度に変化するのを観察した。その後コンピューターコードを用いて、個々の粒子から大きな結合した粒子ネットワークまで、さまざまなスケールのモーションデータを自動的に抽出した。

その結果、最小のスケールでは、個々の粒子が自由に動き回り、互いの周りを小刻みに動き、振動していることが分かった。ゲルが変化するにつれて、個々の粒子が凝集し、より制約のある状態で一緒に動くネットワークを形成し、やがてゲルの形成が終わると、複数の粒子ネットワークが材料全体で互いにまとわりつき、1つの均質な構造としてわずかしか動かない堅い網状構造を形成した。コロイドゲルが液体と固体の両方として振る舞えるのは、多くの異なるスケールでの動きがあり、その動きがスケールによって異なるためだと、研究チームは結論付けている。

この発見は、コロイドゲルの微細構造についての最初の包括的な研究であり、ヨーグルトやハンドローションなどさまざまな製品の材料特性を調整するのに役立つ可能性があるという。

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